第41話 ページ4
貴｢いやぁ、お疲れ〜☆｣
後夜祭は無事に終了。誰もいない学院内のレッスン室に着替えを終えたあたしたち六人は集まっていた。
斎宮｢…｣
黙ったままの斎宮の肩に手を乗せる。どうかしたのか？と顔を覗くと、今にも泣きそうな表情で驚いた。
貴｢ど、どったの？｣
斎宮｢…楽しかった｣
素直な感想だ。
斎宮｢体育祭を楽しいと、アイドルとして立つことが楽しいと感じたのは久々だ…ありがとう｣
心からの、感謝だった。
ニッと笑って、いいってことよ！
瀬名｢でもさぁ？勝敗はどうなったわけぇ？｣
腕を組みながら壁によりかかっている瀬名の言葉にうーんと、唸る。
守沢｢一時はどうなるかと思ったが、後半からは客の人数も増えたしパッと見じゃ分からんな｣
斎宮｢勝っていて欲しいがな…｣
影片｢…ごめん｣
ポツリと消えそうな声でつぶやく。綺麗な色の違う瞳に、大粒の雫が溜まっている。
影片｢お、おれがもっと、早く見つけてたら…おれが、きちんと見とけば…こんなことにはならんかったかもしらん……｣
小さなその少年に歩み寄り、手を伸ばして抱きしめる。
影片｢んぇ…？｣
貴｢ありがとう｣
身体を離して、目と目を合わせる。
貴｢一緒のステージに立ってくれてありがとう｣
影片の瞳からはボロボロと涙は落ちた。それは宝石のようで瞳の色を反射して流れる。
その身体を抱きしめて後頭部を撫でてやる。熱くなるその小さな存在を、大切に大切に抱え込む。
そして何度も繰り返すのだ。
『ありがとう』と。
それがきっと、彼がこれからアイドルとして戦う糧になるはずだから。
その後、女の子たちからの情報を集めてくれた羽風が走ってあたし達に勝敗を伝えに来る。
勝ったのは、数人多かったあたしたちの体育祭の方だ。
今度こそあたしたちは拳を握りしめ、褒め讃えあい、笑顔に満たされる。
今度こそ、人形めいた表情じゃない二人の笑みは満開に咲き誇った。
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作者名：�� | 作成日時：2017年7月9日 0時
