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柚葉side






ヘッタクソな笑い方。心の中で毒吐きながらまた階段を降り始めるAに続く。
スリットの入ったタイトスカートに丈の短い上衣。そんな格好をするだけでずっとずっとアンタは大人びて見える。アタシより背低いのに。アタシよりも喧嘩っ早いクセに。

目的の場所まで着くと、警備らしき男に確認を取られ部屋に案内された。




『柚葉、嫌でも笑っててね』




部屋への移動中、Aがこそりとアタシに囁く。
しゃんと背筋を伸ばし歩くその姿は、やはり慣れ何だろうか。

通された部屋は想像に反し簡素なものだった。向かい合う様に置かれたソファーには男が1人座っており、煙草を蒸している。匂いからしてファナが吸っているものとは銘柄が違うのだろう。そして周りには警備の男と同じ服装をした奴らが5名ほど。




『お久しぶりです、青山様』




そんな中でもにこやかに笑みを浮かべたAは怖気付く事なく座っている男に話しかけた。
あの男が今回の取引相手、か。

そう考えながらAの後に続き軽く会釈をする。
白髪混じりの髪を固め後ろに流し、黒いスーツを身に纏う"青山"と呼ばれた男が不躾にジトリと視線を寄越す。
頭から足先まで、舐め回す様な視線に背筋がゾワリと波打つ。

ああ気持ち悪い。


内心の思いを悟らせない様にAに言われた通り笑みを浮かべ、ソファーに座った。


その後はとんとん拍子で話が進み無事金を集金できた。
本来ならアタシもAも帰っていい。でも、あの子は違う。




『柚葉。先、帰ってて。青山様と少し談笑して行くわ』




穏やかな顔をしこちらを見ずにそう言うA。その手には青山が煙草に火をつけるためのライターが握られている。火をつけた青山はふうーっとそれを吐き出し此方を見やる。




「そっちの子は帰るのかい。中々良い女だが、オマエのとこの働き手か?」

『まさか。彼女は私と同じ歳ですよ』




ライターを側にいた男に渡しながら言うAは、目線を此方に投げかけ訴える。
"早く行って"と。
一つ会釈をし、踵を返して階段を登る。

暗い階段を抜けると日差しが目に飛び込んで来た。暗闇から光の場に出て来た為目が痛い。

一度階段を見下ろすがAが来る様子はない。
そりゃそうだ。先帰っててと言われたんだから。それでも、期待してしまう。
Aは本当にあの場に慣れている。先方にも此方にも気を使えるぐらいに。



だから尚更息苦しい。




あの子は、自分に厳し過ぎる。

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沙羅楓(プロフ) - とってもこのお話好きなんですけど、もう更新しませんか?更新してもらえたら嬉しいです!! (2021年9月6日 21時) (レス) id: 00281eed20 (このIDを非表示/違反報告)
ファナ(プロフ) - 蛙パーカーさん» 了解ですー!高確率でピンクシーン出す人間なので気を付けます( ˙-˙ ) (2021年8月3日 18時) (レス) id: 9cecc5311f (このIDを非表示/違反報告)
蛙パーカー - もし、ピンクシーン有るんだったら、目次の所に※じとかのマークお願いしたいっす!これからも応援してますっす! (2021年8月3日 15時) (レス) id: b75236f17d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ファナ | 作成日時:2021年6月19日 11時

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