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30分くらい2人でとうもろこしをとったり、他の野菜をとったりしていた。
少し汗もかいてきて、休憩していると、ばあちゃんが話しかけてくる。
「2人とも、家でとうもろこし食べるかい？」
『え！いいんですか！』
「ええよ。採れたてはおいしいからね」
「よっしゃ！」
これだけ頑張った甲斐があったな。
大好物を食べられると知ったせいで、もう完全に口がとうもろこしを欲している。
さっそく荷物をまとめる。
ばあちゃんは作っておく、と言って先に行ってしまった。
じいちゃんもまだ仕事を続けるらしいから、2人で帰ることになった。
Aちゃんと俺の手には、カゴいっぱいのとうもろこしと夏野菜たち。
どれも太陽でキラキラ輝いてておいしそうだ。
Aちゃんは、たくさんの野菜を見てかわいらしい笑顔を浮かべている。
屈託のない、純粋無垢な笑顔が眩しくて、吸い込まれるように彼女を見つめていた。
『恥ずかしいんやけど、シャオロンさん』
さすがに見すぎだったらしく、彼女はちょっと照れていた。
普段は俺をシャオちゃんと呼ぶのに、さっきはシャオロンさん、とわざとらしく呼んだ。
呼ばれ慣れない呼び方に、グッとくるものがあった。
…って、なに考えてるんだ俺。
「ああ、いや、その、、ええ笑顔すんなぁって思って…見てもうた…」
自分で言ってて恥ずかしい。
というか、キモくないか？
今さら悔やんだってもう遅い。
俺の発言はちゃんとAちゃんに聞こえていたみたいだった。
その証拠にAちゃんは『意味わからん！』と言って早歩きを始めた。
俺でもわかる。多分彼女は照れている。
キモいのはわかるが、自然と口角が上がる。仕方ない。
急に早歩きを始めたAちゃんに慌てて着いていくと、彼女は家の前でピタ、と止まり振り向いた。
『シャオちゃん、いつの間にそんなこと言う人になったん。
こ、これから、笑いずらくなってまうやん！』
「ほんまのこと、言っただけやもん！」
別に俺だって、誰彼構わずこんなこと言ったりはしない。
多分、Aちゃんだからで、彼女の笑顔が素敵だったからだ。
「2人とも、とうもろこし出来たで、中入り」
少し沈黙があったが、2人でばあちゃんに促されるまま縁側に座った。
運ばれてきたとうもろこしをかじれば、甘い粒が口の中に広がった。
恥ずかしさなのか、美味しさなのか、わからないけど、食べ終わるまで俺たちは話さないままだった。
それでも別に、苦しくはなかった。
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作者名：煽田 -アオタ- x他1人 | 作成日時：2020年8月1日 22時
