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街灯なんて、片手で数えられるくらいしかないこの町は、夜になってしまえば笑えるほど暗くなる。
ライトが必須になると思い、じいちゃんからライトを借りた。
現地集合になっていたから、昼に行ったばかりの川へ足を急ぐ。
川辺に着くと、街灯の下で準備をするAちゃんを発見。
「よう！」
『あ、シャオちゃん！ちょうど準備終わったで』
水の入ったバケツに火の灯ったロウソク。ずらっと並べられた花火たちは俺の子ども心をくすぐる。
「それ、1人で準備したん？」
『いやいや、お父さんに準備だけ手伝ってもらったんよ』
「なるほどな」
準備万端すぎて、何もしなかったのが申し訳なくなってきた。
「なんかごめんな、何も用意できんくて」
『え？いや急に花火しようって言ったん私やし、私が準備するんは当たり前やん』
彼女からはなんだか、自分が場を仕切っていることの嬉しさや楽しさを感じた気がした。
まあ、Aちゃんが楽しいなら、いいかな？って思ったり。
随分と甘い思考はもはや当たり前と言ってもいい。
「でも、なんで急に花火しようって言うたん？」
『……次会えるの、いつか分からんし、とりあえず今はこの夏休みに会えたことの思い出残さないかんなーって思ってん。
2人でいろんなとこ行ったけど、まだ花火してへんなって思ったら、もう時間なくなってもうてて、どうしてもやりたかったし、ダメ元で』
「…そっか。
思い出残したいって思ってくれてんのめっちゃ嬉しいな。ありがとう！」
Aちゃんの心はどこまでもキレイで、純粋無垢な透明な心だ。
「よし！じゃ、さっそくやるで！！」
ついに始まる小さな花火大会。
無難そうな花火を1つ手に取って、ロウソクに近づける。
ボゥ、と燃えた花火は勢いよく火花を散らしている。
ぼーっと見つめてみたり、回してみたり、幼児さながらはしゃいでみる。
時々よそ見して彼女を見てみたりなんかして。
1本終わったらまた1本に火をつける。
いろんな特徴のある花火は見るのが楽しくて、もう少しこのまま見続けられたらいいのに、なんて思う。
それでも終わりはあるもの。
残りの花火は、線香花火。
『あっという間やったね』
「はやかったなぁ」
花火って終わりが一瞬だから少し寂しい。
最後の線香花火を2人で手に取り、火に近づけた。
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作者名：煽田 -アオタ- x他1人 | 作成日時：2020年8月1日 22時
