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夕食を済ませると、彼女を部屋に案内した。
「ここが君の部屋になる」
「わぁ、なんて素敵な部屋……！もしかして、家具をわざわざ揃えてくれたんですか？」
「ああ。気に入ってくれたかな？君のイメージで選んでみたのだが」
白を基調として全てを統一した。窓辺にはレースのカーテンを引き、机とマーガレットの花が刻まれた洋服ダンス、同じ種類のベッド、ドレッサーを狭くならないように上手く配置しておいた。
マーガレットの花模様は、以前彼女の部屋で見た花のことが、頭をよぎったからだ。
「とっても可愛いです！とても気に入りました！こんなことまでしていただいて、本当になんて言ったらいいか……あ、ありがとうございます」
嬉しそうに潤んだ瞳で見上げられ、胸が高揚して高鳴る。こんなにも心踊る瞬間が、手を愛でている時以外にもあったのかと、感動しながら彼女に笑顔を向けた。
「何か足りないものがあれば、遠慮なく言ってくれ。そういえば、先に食事を作らせてしまったが、君の荷物は＿」
「あ、そんなにないので大丈夫です。それよりも、他にやることはありますか？」
「そうだな……風呂はしばらく我慢するように言われているんだが、私は生来不潔なのが苦手でね。洗髪をしてもらいたいのだが」
「わかりました」
バスルームに赴くと、あらかじめ用意しておいた長椅子に仰向けに寝た。
「何かあったら言って下さいね」
「ああ」
顔に布切れがかけられ、彼女の手が私の髪を優しく繊細に洗い始める。気持ちが良くて、泡だらけの手を何度も握りそうになった。
それから、こんなことを頼むのは、きっと年頃の少女にとっては嫌なことかもしれないと思ったが、これは仕事なのだからという態度で、身体を拭くように命じた。
「背中を頼むよ。片手で拭くのは無理だからね」
頷いたのでシャツを脱ぎ始めると、彼女は顔を赤らめながら慌てたように、私の背後に回った。
本当に幸せだった。これから肩が治るまでは、こうして彼女に何もかもしてもらえるのだ。ずっとずっと幸せな日々が続くだろう……。
そう思っていたのに……翌日になると、Aの様子がどことなくおかしいことに気が付いた。それは初めてみる表情で、いわゆるしかめっ面というやつだった。
「どうかしたのかい？」
「……いえ、別に」
別にという顔ではなかった。一度も視線を合わせないまま、彼女は早々に学校へ行ってしまった。
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パエリヤさん(プロフ) - やばいです！綺麗な文章で素敵です！ありがとうございます！ (2022年1月31日 19時) (
レス) id: a088706bb8 (このIDを非表示/違反報告)
よっちー - サイコーです！続きを楽しみにしてます！ (2021年7月13日 14時) (レス) id: eac1b7e0ad (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - 更新多くて嬉しいです！ (2021年7月11日 18時) (レス) id: 73f14cc594 (このIDを非表示/違反報告)
桜鯛(プロフ) - 凄く面白くて一気に2まで駆け抜けました。もっと早く知りたかった作品です…！今は友希を募集していないようなので、また再開したら必ずすっ飛んで行きます！お気に入り失礼します。 (2021年4月2日 1時) (レス) id: d34a88a9f2 (このIDを非表示/違反報告)
すみね(プロフ) - 本当に大好きな作品です。ありがとうございます。 (2020年7月26日 1時) (レス) id: 8a8e69e87d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：光
| 作成日時：2017年3月16日 20時
