43 何が起きたのかわからない ページ8
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『ちょちょ、何、離して!?』
鶴房「……っあ、悪い」
着いた所は合宿場所の共有廊下。
状況を説明すると、数分前まで楽しい会話をしていた私たちの前に突如現れたツルボウシオンという名の新種宇宙人に首元の襟を引っ張られて室内に連れ込まれました。
そして共有廊下で2人きりはい今ここ。
パッと私の首元を離す鶴房は、本当に何がしたいのかわけがわからない。
洗濯物干し終わって豆原くんとおしゃべりタイムだったんだよこっちは!!
そして私の首元を掴んでいた手をじっと見つめて首を傾げる鶴房。
『で、用件は?』
鶴房「……」
…まさかの無言。
首引っ張って連れ出されたから何事かと思いきや暇つぶし?だった場合ブチ切れて帰るけど?
どう怒ってやろうか考え出した頃、鶴房は行き場のない感情を曝け出すように、パッと目を逸らした。
鶴房「なんか、嫌だった」
『はい??』
鶴房「そんなに楽しそうな顔するんやなって」
『なにが?』
鶴房「…めっちゃ、嫌やってん」
『なんでよ』
いや相変わらず意味わかんないなお前は!
しかし鶴房は、ぐっと強く私の腕を取った。
いつもとは違う何か。不思議な違和感。
その手が随分と熱くて、鈍感じゃない私には嫌でもこいつの言いたいことが伝わってきてしまった。
余裕のない表情、眉間に寄ったシワ。
鶴房「お前のこと好きだから」
合宿場所の渡り廊下に、鶴房の声が妙に響き渡る。
綺麗な顔してるな、なんてこんな時でさえ余計なことが頭を駆け巡った。
私はいつも通りふざけたように手を払って笑って見せる。
『…いや冗談?』
鶴房「なわけないやろ」
『……友達的な…アレ?』
鶴房「恋愛的な、意味」
そう小さく呟いた鶴房は、本当に苦しそうな顔をしていて、ああこいつ本気なのか、と私の胸にその事実だけがすとんと落ちてきた。
『そ、そっか〜!初めて言われたそんな事、』
鶴房「……お前は?」
『…』
いつも自信家で何にも染まらない鶴房が、珍しく不安そうな顔で私の様子を伺った。
私は何も考えられなくなって、その場から駆け出してしまった。
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マァ(プロフ) - 久しぶりに読んでも楽しいし泣けました。 (2023年2月24日 11時) (レス) @page50 id: 72e8f2e0cc (このIDを非表示/違反報告)
雪りんご(プロフ) - こんにちはりんごじゃむさん!日プの新作とか出すつもりあるでしょうか??すごくみたいです!! (2020年8月13日 4時) (レス) id: d343e70c28 (このIDを非表示/違反報告)
りんごじゃむ(プロフ) - go to the topさん» こんにちは、返信が遅くなってしまい申し訳ありません!転載のお話ですがもちろん可能ですよ!!私の作品が多くの中国JAMの方に読んでもらえることを心から願っています!その際はぜひ名前の記入をお願い致します! (2020年8月9日 19時) (レス) id: 009a13994c (このIDを非表示/違反報告)
go to the top - こんにちは、りんごじゃむ先生!翻訳してからLOFTERに転載してもいいですか。中国にもJAMがたくさんので、原作者を明記するのを忘れられない。 (2020年7月10日 16時) (レス) id: d57e1e7b99 (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて一気に読んでしまいました!他の作品も楽しみにしています! (2020年6月28日 4時) (レス) id: 5f1fa35d0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんごじゃむ | 作成日時:2020年3月30日 18時