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*
あたしの恋はいつも上手くいかなかった。
中学の時も、さっきだって。
いつだってあたしの好きな人には好きな人がいて、叶わない恋ばっかりして。
その度に“彼”が寄り添ってくれた。
その“彼”はあたしに寄り添っては「大好きだ！」とか「愛してるよ！」とか言ってきて、最初こそ困惑したし、何のつもりなんだっておもってたけど
次第にそれは“彼”なりの優しさだと気づいた。
それと同時に、ずっと苦しい思いをさせてきちゃったんじゃないかって怖くなった。
“ ずっと昔から、今も変わらずおまえが好き。”
知らなかった。
言い訳に聞こえるのかもしれないけれど、“彼”はアイドルだし結構ハチャメチャな所があるから好きだと言われても実感は湧かなかった。
実際、同じユニットや学科の人達に抱きついては好き好きしてる所も知っている。
『……はぁ。』
疲れきった頭を休めたくて、帰宅早々に布団にダイブ。
あの後、結局レオくんと一緒に帰り、いつものように家の前で別れてお互いが帰宅をした。
『明日、なんの授業だっけ…』
少しでも考えることをやめたくてあたしは重たい体を起こし教科書たちとにらめっこをする。
クラスLINEに貼られた明日の授業スケジュールをみて、教科書の入れ替えをしようと鞄を手に取った。
『なにこれ？』
鞄の中には見覚えのない紙の集まりがあって、それを取り出すとどうやら楽譜のようだった。
『これ…レオくんのだ、。』
並べられたちょっと特徴のある音符に、瞬時に彼が書いたのだと確信する。
そういえば、今日帰る前は音楽室集合だったしこれを見せたかったのかもしれない。
そう思い、自室の窓を見ればカーテンで閉められてはいるもののお隣さんの窓から僅かに漏れる光が見えた。
レオくんの部屋だ。
あの部屋で、また作曲をしているのかもしれない。
それとも疲れちゃって仮眠してるのかも。
『って、あたしレオくんのことばっか…！』
気づけば何故か頭の中はレオくんでいっぱいで、我ながら少しばかり怖くなる。
まとめられた楽譜を手に再びダイブをして、パラパラと捲って、だけどそれも途中でやめた。
パサ…と顔の上に楽譜を被せ目を閉じて心を落ち着かせるもそれが上手くいかない。
“ ＿＿＿だから、意識して。おれのこと”
目を瞑れば、脳裏にチラつく男の子らしい彼の顔と、少し色気を混ぜた高めの声が頭から離れない。
『……意識、しちゃったじゃん。』
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作者名：なこ | 作成日時：2023年1月29日 20時
