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目の前に立つものは誰1人居ない。
開けた視界から見える客席の、その最後列より更に後ろで、壁によりかかり不安げにこちらを見つめる金色の瞳が、俺を映している。
舞台袖に目をやれば、ニヤリと嫌な笑みを浮かべ、腕組をする「王さま」が居た。
対象的な2人に、僅かながらに集中を削がれた。
もう、闘わせないと誓った。一種の忠誠だった。それなのに、俺はまたアイツを戦場に引き出し、武器を作らせ、その扱い方を未熟な王に伝えさせた。
我ながら、自分に呆れた。
「(不安そうな顔しちゃって、少しくらい俺たちを信じてくれたっていいのにねぇ。)」
先を歩き、目の前に立つAの存在はあまりにも大きかった。
その小さな背中に、護られて居たのだと、遅れて気づいた。
Aがステージに立たなくなってから、俺の前に立つものは居なくなった。
その後の初めてのライブで、俺は現実を目にした。向けられた悪意に、踏みにじられそうになって、そしてまた負けた。
逃げ出したくなるほど、俺の知っている「ライブ」じゃ無くなっていた。これを、Aは幾度となく体験してきたと思うと、胸が死ぬほど締め付けられた。
目の前に立つ者が居ない分、その悪意は最前列に立つ者に向けられる。そんな簡単なことにさえ気づかない自分が情けない。
そう思い悔やんだ。
スポットライトに照らされてかがやくパールホワイトの髪、靡くスカート、可愛らしい愛を唄う声、先を行くその後ろ姿。
そいつはもう、ステージに立つことはきっと無いのかも知れない。
だけど、あんたが護ってくれたから、俺は今足掻いて、「大切な友達」を取り戻そうとしている。
与えられた武器は、傷つけるためじゃなくて、助けるために使うと誓ってあげる。
「(だから、もっと笑って)」
そんな不安そうな顔、もうしなくたっていい、俺たちは負けないから。
「(泉ちゃん、女王さまに気づいてるのかしら…？やけに、楽しそうじゃない♪)」
もし、この先、願ってもいいのなら。またあんたと一緒に、ステージに立ちたいけれど。
そして、それが叶うのなら。今度は前を歩かせたりしない、隣で俺たち"Knights"が寄り添うと誓おう。
「"〜♪ 剣を取って約束しよう__ 誰より強くここに
この歌は、あんたが俺たちにくれた、誰も傷つけることのない、優しい武器。
その期待に応えて魅せようじゃんねぇ？
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なこ(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます~！そう言ってもらえて嬉しいですっ！これからも是非読んでやって下さい…！ (2023年3月6日 21時) (
レス) id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ほんとにこの作品に出会えて良かったです！！設定からお話全てが最高です！！！陰ながら応援してます！！ (2023年3月4日 23時) (レス) @page34 id: 6a12c2dc89 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - お醤油さん» わー！コメントありがとうございます！個人的にはもう終わりまで決まってるので、スピード完結しそうですがこれからも、是非読んでいただけると…！頑張りますっ！ (2023年3月3日 23時) (レス) @page5 id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
お醤油 - もう本当に面白いです！一気にスラスラ読んじゃいました！もう設定から好きすぎる…これからも作者様のペースで更新頑張ってください！応援してます！ (2023年3月3日 21時) (レス) id: b53313ac14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なこ | 作成日時：2023年2月27日 19時
