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「っに、してんのぉ！？」
気づけば俺の手は、Aの手を掴んでいた。そして、その小さな手に握られたソレを、奪い取ってそこら辺に投げ捨てた。カシャン、と金属物が落ちる特有の音が、控え室に鳴り響く。
「はっ、ほんっと、何考えてるわけ！？俺が居なかったら今頃どうなってたか、わかっ……っ、も、ホント…辞めてよねぇ、…お願いだから。」
Aは何も答えずに、俺を見て、宝石のような金色の瞳から大粒の涙を零した。
その顔に、続けるはずの言葉は奪われて、ただ「お願いだから」と情けなく下を向く。
俺のおかげか、俺のせいか、手持ち無沙汰になってしまった手は、ピクリとも動かない。ただ、こちらに視線を向けてくるだけ。
お人形のように、声も出さず、その端正な顔をこちらに向けるだけ。
正直、ゾッとした。
感情全てを何かに抜き取られたような様に、俺はまた言葉を失う。
必死で掛けてやる言葉を探して、でも見つからなかったから、俺はAを抱きしめた。
「大丈夫だから」なんて気休めにもならない、見切り発車のような言葉だけが、俺が伝えられる精一杯のソレだった。
「とりあえず落ち着いてよ、お願いだから。よく、考えて。考えて、それでも死にたいなら、俺が一生傍に居てあげるから。あんたをもう闘わせたりしないから。俺の願いも、もう叶えてくれなくていいから。ゆっくり休んでよ、ねぇ。」
『な、で、』
「俺はあんたを、…Aを失うことの方が怖いに決まってるでしょお。そんなことも分からないわけ…？」
またボロボロと涙を零して、やっとで声を出したAは、子供のように泣きじゃくり始めた。
その手持ち無沙汰だった手を自分の顔に当てて覆った。徐々に低くなる姿勢に、抱きしめきれなくなってきて、1度離れて、頭を撫でてやる。
けれど、自分を責めることにどんどん拍車がかかっていくAは、止まることを知らない。
『あたしが悪かったの！あたしが、あたしがもっと上手に闘えてたら！あたしが皆を壊しちゃった…れおくんも、Knightsも、泉くんから奪っちゃった…！』
「だから、もういいってば。」
吐露を続けるAは、次第に呼吸が上手く出来なくなってきたのか、肩で息をするようになって、俺は必死に「大丈夫だから」とまた声をかける。
落ち着いて、と頭を何度か撫でてやって、呼吸も安定したけれど、心の傷はそう易々と消えてはくれなさそうだった。
その姿が、俺の頭から離れなくなっていく。
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なこ(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます~！そう言ってもらえて嬉しいですっ！これからも是非読んでやって下さい…！ (2023年3月6日 21時) (
レス) id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ほんとにこの作品に出会えて良かったです！！設定からお話全てが最高です！！！陰ながら応援してます！！ (2023年3月4日 23時) (レス) @page34 id: 6a12c2dc89 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - お醤油さん» わー！コメントありがとうございます！個人的にはもう終わりまで決まってるので、スピード完結しそうですがこれからも、是非読んでいただけると…！頑張りますっ！ (2023年3月3日 23時) (レス) @page5 id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
お醤油 - もう本当に面白いです！一気にスラスラ読んじゃいました！もう設定から好きすぎる…これからも作者様のペースで更新頑張ってください！応援してます！ (2023年3月3日 21時) (レス) id: b53313ac14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なこ | 作成日時：2023年2月27日 19時
