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『あたしは、』
言葉に詰まった。曲とれおくんどちらか、と言われれば迷いもなくれおくんとそう答えることが、「昔なら」出来た。
けれど、今はどうだろうか。勿論、今でも変わらず取るのはれおくんだ。ただ、それを口にしても良い立場にいるのは、泉くんだけだ。
全てを知っておきながら、結局こんな所まで結末を変えることは出来ず、天祥院くんの思惑にまんまとハマり、駒と成り下がっている。
「はは、意地悪してごめん！」
『えっ、』
分かってるんだ、とれおくんは言った。どちらの事か。あたしが、君を取ることか、それとも逆で、曲を取ると勘違いしてしまったのか、はたまた、あたしの立場を理解しているのか。
そんなの、知る由もない。
「薄汚い欲望でも、見当違いな優しさでも、何でもいいから見せろ！
おれはそれを最高の芸術に仕立てて、全世界に見せびらかして、綺麗だねって称賛させてやる！
それでセナが、Aが満たされるなら、おれは全力でそれをやるよ。
____世界のぜんぶが敵に回っても、おまえたちが一緒にいるなら、おれは幸せだから。」
泉くんもあたしも、何も言うことはなかった。
満たされるはずもないし、称賛だって要らない。3人で卒業まで、あわよくば卒業後だって、出会った時のように過ごせるのなら、他に何も望まないから。
泉くんの考えは分からないけど。少なくともあたしはそう思ったから。
この先、あたし達は今まで通りじゃ居られない。
Knightsは凋落の一途を辿るだけだ。
だけど、Knightsなんか無くったって、れおくんと泉くん、2人さえいればそれでいい。
だから、忙しなく進んでいく時間の中で、君たちが早々に崩れ落ちないように、利用される事も承知で、天祥院くんに操られるがまま、かつての身内を切り捨て、殺し、『血染めの天使』なんて言われて。
並大抵の人間にはこなせないであろう、過密スケジュールも、繰り返される単独ライブも、全て後にヘイトが向けられるのは、あたしだけでいいように、と願って。
そして、本当なら、れおくんを天祥院くんに利用させたくなくて、早いところタスククリアをして、収めようと思ったのだけれど。
れおくんは、あたしの知らないところで核心をつき、泉くんはそれを知る。
あろう事か、あたしが加担してしまった事にさえ気づいて、関係は徐々に壊れていく。
あたし達はもう、眩しい青春を取り戻すことはきっと出来ない。
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なこ(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます~！そう言ってもらえて嬉しいですっ！これからも是非読んでやって下さい…！ (2023年3月6日 21時) (
レス) id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ほんとにこの作品に出会えて良かったです！！設定からお話全てが最高です！！！陰ながら応援してます！！ (2023年3月4日 23時) (レス) @page34 id: 6a12c2dc89 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - お醤油さん» わー！コメントありがとうございます！個人的にはもう終わりまで決まってるので、スピード完結しそうですがこれからも、是非読んでいただけると…！頑張りますっ！ (2023年3月3日 23時) (レス) @page5 id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
お醤油 - もう本当に面白いです！一気にスラスラ読んじゃいました！もう設定から好きすぎる…これからも作者様のペースで更新頑張ってください！応援してます！ (2023年3月3日 21時) (レス) id: b53313ac14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なこ | 作成日時：2023年2月27日 19時
