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「絶対に1人で弓道場にはくるなよ」
れおくんは鋭い瞳で、あたしにそう告げたことがある。
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胸元のリボンが赤から青へ変わるのと同時に、あたしはアイドルらしい活動。つまりはユニットに籍を置いた。
ユニット名は…忙しなくコロコロと変わるので覚えるのは諦めた。
リーダーや周りから、出ろと言われれば出て、歌えと言われれば歌う。そんな機械じみた活動に少しばかり嫌気は既にさしていた。
けれど脱退しなかったのは、何時も少し後ろで一緒に歌って踊ってくれる『2人』がいたから。
『かれ』の作る曲が与えてくれる感動を、他者たちにも知って欲しい。アイドルとして、『彼』と仲介人をさせて貰えることが何よりの幸福だったから。
つまりは、2人はあたしの中で何にも変え難い存在で、2人のためなら死んだって構わない。そう、いつの間にか思える関係にはなっていたと思う。
『れおくん？』
冒頭の台詞など、最近の順風満帆とも言えるアイドル生活で頭の片隅にすらなくて、言いつけを破ったあたしは、目の前に広がる光景をただ疑うしかなかった。
弓道場の真ん中で蹲るひとつの影は、あたしの見慣れた黄昏色の髪を床に着け震えている。
『れおくん！』
かれを認識した時にはもう、あたしの身体は前のめりになっていて、その次に出たのは足、そして蹲るかれに駆け寄り『大丈夫？』と声をかけた。
「おれの言いつけ、やぶった、だろ」
『そんなの今どうでも…！』
ふと、上から「女王サマだ〜」などと言う声が多数降ってきて首を上げる。
そこには、面識はあるような、なかったような。うろ覚えでマトモに覚えることさえできない人が何人かいて、さっきまでそうだった様に、一瞬で囲まれる。
『だ、ダメ！！……ッ！』
視界の端で、動く何かに咄嗟に反応したあたしの身体は、床を滑り、コロコロとそんな可愛らしくもないけど転がった。
同時に、腹部に感じた痛みは今までに受けた事の無い痛みで、気が動転してしまう。
ただ、あそこに立っている誰かの足が、れおくん目掛けて勢い良く向かっていってた事は冷静にも、理解していた。
『けほッ…』
「おいッ！！」
これがなにかの撮影だったなら、リアリティ満点の、それはもうヒットするドラマや映画だったのだろう。そして、演技で身体を張るあたしは賞賛されるのだ。
そうなったら、この先のアイドル人生、少しは保証されていただろうに。
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なこ(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます~！そう言ってもらえて嬉しいですっ！これからも是非読んでやって下さい…！ (2023年3月6日 21時) (
レス) id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ほんとにこの作品に出会えて良かったです！！設定からお話全てが最高です！！！陰ながら応援してます！！ (2023年3月4日 23時) (レス) @page34 id: 6a12c2dc89 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - お醤油さん» わー！コメントありがとうございます！個人的にはもう終わりまで決まってるので、スピード完結しそうですがこれからも、是非読んでいただけると…！頑張りますっ！ (2023年3月3日 23時) (レス) @page5 id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
お醤油 - もう本当に面白いです！一気にスラスラ読んじゃいました！もう設定から好きすぎる…これからも作者様のペースで更新頑張ってください！応援してます！ (2023年3月3日 21時) (レス) id: b53313ac14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なこ | 作成日時：2023年2月27日 19時
