生まれ変わったら瀬名で草【あんスタ】

選択. ページ16

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「それでね、この間渉が─────」

『へ、へぇ』



天祥院英智サンに捕まってかれこれ小一時間程経っただろうか。

全く解放して貰えないし、解放の兆しが著しく見えませんし、この高級茶葉のせいでなんか無性にお腹が痛い。

何か盛っただろ？ってレベルでお腹痛い、あと味が分からなかった。強いて言うなら大人の味だった。




「…Aちゃん？どうしたのかな。大丈夫？」

『え？あぁ、えへ、あはー…うん、大丈夫です。』



いや、大丈夫じゃないけど。

一応女の子だし？一応瀬名泉の双子の妹だし？変な言動は泉くんが許さないだろうし？

死ぬほどお腹痛くてトイレ行きたいので帰ります、なんてダサい理由は述べられないけど？

生きにくい世の中だねぇ、瀬名って生きにくいんだねぇ。

まじ終わってるネ。



「それでね、話の続きなんだけど。」



まだ続くのかコノヤロウ。

とか何とか口にはしませんよ。あたし、あと60年くらいは生きていたい。




「ここにサインが欲しいんだ。あ、印の所は苗字書くだけでいいからね。」

『へーへー………………え？』

「ん？」



「ん？」じゃねぇよ？「どうしたのかな？」みたいな顔してるなよ？

この1枚の紙切れ、いま腹痛の事で蚊帳の外過ぎて普通にサインしそうになったけど何？


何？【学科編入届け】って何？？？？？


あっっっっっっっぶな！！！！流れで流される所だったね！！！！(？)

やっぱり盛ったか？遂にこいつあたしにブツを盛った！？



「うーん…中々上手くいかないものだね。渉に言葉巧みな"交渉術"を教わったんだけどなぁ。」

『言葉巧みではなかったな？強行突破だよね？』



とか冷静に突っ込んでるけどそろそろホントにお腹痛い。

トイレ行きたい、とかじゃなくてなんか、こう…兎に角キリキリする。

あれだ。茶葉に対して胃が拒否してる。このロイヤルティーを摂取したくないって胃が拒んでる！叫んでる！！



「因みにだけどね。僕はね、君がコレにサインをしてくれるまでは帰さないつもりなんだ。」

『軽く犯罪では？？？？』



にっこり、素敵な貴公子スマイルでなんと物騒な事を口にするのか。

最近の若者ってこんな感じ？それともこの世界線がちょっととち狂ってるだけ？

いやー、絶対後者だと思うけどね！！！絶対ね！！！



「あぁ、もうこんな時間だ。どうする？」



拒否権などない、なんて顔をしてやがるな。



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