1 ページ1
*
「おはよ、A」
『……りつ、』
朝、目を開ければ視界の先で微笑むのは幼馴染の朔間凛月。
何故あたしのベッドにあんたが居て、寝間着をはだけさせて、その綺麗な鎖骨をチラつかせながら微笑んでいるのか。
なんて、口早に問い詰めたのは凡そ去年の話。
あたしが夢ノ咲学院に入学してからというもの、朝のこの光景はあたし達の通常であり、他人の異常である。
『もう、ベッドに潜り込むのやめてって言ってるじゃん。』
「なんで？今更でしょ。」
『そうだけど……この歳で添い寝はおかしいでしょ。』
「なに、また周りから何か言われたの。」
『……』
「ねえ。」
この男は、あたし達の関係に周りから口を出されることを酷く嫌う。
中学時代、どうやらあたしを好きであったらしい男子が、あたしに引っ付いてた凛月を気に食わなかったらしく大衆の面前で指を指したところ、返り討ちにあったんだとか。
『……違うよ、何も言われてない。』
「そう。」
頭をひとなですれば、そっと伏せられた瞼。長いまつ毛が目立って、少しばかり妬みそうになる。
黙っていれば美形なのに。
二度寝をかまそうとする幼馴染を放っておき、手早く朝シャンを済ませる。
部屋に戻れば、無遠慮にあたしの布団で眠りこける幼馴染をこれでもかと揺さぶる影が視界に入った。
『おはよう、真緒。』
「お？おいっす、A。ごめんな、勝手にお邪魔してる。」
『ううん、いいよ。ごめんね、毎度起こしてもらって。』
「いいって、俺たちの仲だろ？」と爽快に笑うもう1人の幼馴染こと衣更真緒は、再び凛月を揺さぶり起こす。
流石に観念したのか、真緒の手にあった制服を受け取って、のそのそと寝間着に手をかけて───────
「何みてるの？Aのえっち…♡」
『え"っ！！！？』
「凛月！！！」
ここはあたしの部屋なのに！！！
着替えるなら他所言ってよ！！
そんな言葉が喉元まで出かけて、だけれどあたしは勢いよく扉を閉める。
リビングで充電していたスマホを乱雑にブレザーのポケットに突っ込んで、ソファーに置いておいたやけに軽い鞄を肩にかけた。
ちゅんちゅんと可愛らしい雀のさえずりが聞こえる中、あたしは頬を膨らませて通学路を歩く。
『なんなのよ！凛月のバカ！！！』
……あ、お弁当忘れた。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 241人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なこ(プロフ) - 凜花さん» ありがとうございます…！続きもぜひお楽しみに…(*´˘`*) (8月21日 22時) (
レス) id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
凜花(プロフ) - 出だしから好きです‥‥続き楽しみにしてます！！ (8月14日 1時) (レス) @page2 id: b254cf441a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なこ | 作成日時：2023年8月9日 21時
