二十七 ページ27
「その羽織…夢で幼い私に着せたんです。やっぱり夢だから現実とは違うんですね」
「あたりまえだろ?夢は夢、現実は現実」
「そうですね」
雪降る街を歩いた。街並みも景色もすべてあの夢の中と同じだ。
「そういや、おまえなんでこの街に住んでたんだ?先帝の娘なら普通は生まれた時から宮廷にいるだろ?」
神官殿は寒さで震えている。
「母の身分はわかりませんが、宮廷には住んでいなかったようですね。その時に私を生んだことになるのかもよくわかりませんし、母がこの街に住んでいたって気もしませんが…」
「ふぅん。どちらにしろここでなにかわかるかもな、おまえの過去が」
「そうですね…あまり良い過去ではありませんが…」
「そうなのか?」
「不思議な過去です。煌とも強く関わりがあるようですし…」
「……そっか。まぁ、今から見るもんは昔のこと、終わったことだ。あんまり思い詰めるなよ?」
「ありがとうございます」
「じゃあ早く次へ進む扉かなんか見つけよーぜ。じゃなきゃ俺が凍死する」
「はい」
まずはいつも見るあの空き地に行った。
案の定、幼い私は暴力の中だった。
椅子に縛り付けられ、目隠しをされている。
目が見えない恐怖と、より感じる痛覚と寒さに震えている。
「…なんだよあれ………。アレがおまえか…?」
神官殿は目を見開いてジッと幼い私を見ている
「なぜ暴力を受けているのかはわかりません…。ただ、煌と何かがあってそうなってます。あと父を、先帝 練白徳を待っています」
「先帝を…待ってる?どういうことなのかさっぱりわかんねーよ…それに助けなくていいのか?」
「長羽織のことがあったので、きっと助けても意味がありませんよ。過去ですし」
「昔の自分があんな目にあってるって知って、どう思ってる?」
「…複雑です。自分で云いますが、哀れだな…と。アレを少し他人事のように思っている自分もいます。別の誰かの人生のような…。進みませんか?あまり見たくありません」
「ああ…」
進み続けると大きな屋敷があった。
「この屋敷も夢で見たか?」
「いえ、ここまでは見てなくて…。でもやっぱり見覚えはあります」
「この屋敷、もしかしたらこの街の領主の家じゃねーか?」
神官殿は震えながら思い付いた。
72人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nanomio(プロフ) - 大丈夫ですよ! (2018年9月7日 22時) (レス) id: 4c39cbb966 (このIDを非表示/違反報告)
傘(プロフ) - nanomioさん» すみません (2018年8月28日 22時) (レス) id: dc75654661 (このIDを非表示/違反報告)
nanomio(プロフ) - 自分の名前など好きな名前にしたいんですけど。 (2018年8月9日 18時) (レス) id: 4c39cbb966 (このIDを非表示/違反報告)
傘(プロフ) - nanomioさん» どんな名前にしますか? (2018年8月9日 9時) (レス) id: dc75654661 (このIDを非表示/違反報告)
nanomio(プロフ) - 名前って変えられないんですか? (2018年8月3日 11時) (レス) id: 4c39cbb966 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:傘 | 作成日時:2016年12月18日 8時