第四十五話 被弾 ページ46
「石川さん!」
賢治の声が聞こえる。
まだ白い中、辺りを見渡す淳。
何処だ、何処にいる____。
ふと、背後から気配を感じた。
カチリと云う聴き慣れた音。
咄嗟に躰を横にずらした。
後ろを見れば其処には冷たい目をした男が銃を握っている。
黒光りした其れに、淳は顔を顰めた。
パンッ
軽い音が背後から聴こえる。
瞬間___激しい痛みが淳を襲った。
『・・・・ッ!』
命中。
彼の放った弾丸が右肩を貫通した。
男たちはそんな淳を尻目に再び姿を消す。
『谷崎さん!出入口を固めてください!』
そう叫んだ時には遅く、再び銃声が聴こえた。
幸い誰に命中していないらしく、空閑の「にげたぞ!」と云う声だけが響いた。
『賢治さん!追ってください!』
「判りました!」
賢治が直ぐに駆けて行く。
白い煙は消えていき、谷崎たちが駆け寄った。
「石川さん!・・・ッて血出てるじゃないですか」
「止血をしなければ!」
忍田がハンカチを取り出した処で『済みません』と力無く笑みを浮かべた。
素早くカーディガンを脱ぎ傷口を見せる。
弾丸が貫通した右肩を見て、淳と周りにいた全員が顔を顰めた。
『此れは・・・輸血が必要ですかね』
傷口を縛ってもらい乍ら淳は云う。
忍田のハンカチが真っ赤に染まる。
脂汗を拭い、淳はカーディガンを肩から羽織った。
血を失い、体温が下がるのを阻止する為だ。
『あの人たちを追いましょう____』
にこりと笑みを浮かべ、淳は云った。
「然し」城戸が口を開く。
「君は重傷だ
此れ以上動かない方が善い」
そっと背中に手が添えられる。
城戸を見つめ、淳は言葉を紡いだ。
『大丈夫です 此れ位の傷なら慣れています』
余り肩に痛みが走らないように歩き乍ら彼女は口角を上げる。
『此の儘だと他の隊員さんたちに危害が及びます
賢治さんだって必ずしも安全だとは云い切れない』
力無くぶら下がっているような状態の右腕。
先程袖に仕舞った小刀がするりと地面に落ちた。
淳は素早く其れを拾う。
彼女の左手に小刀が力強く握られた。
装飾の紅い紐が揺れる。
『利き腕が死/んだ・・・・・此れじゃあ相手の機動
力を削ぐのが手一杯です』
『城戸様』淳の声がやけに大きく響く。
『ボーダー中に警告を ボーダー隊員たちを危険に晒
す訳にはいきません』
133人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます。ワートリと文ストのクロスオーバーの話なら考えているのですが銀魂の方は大まかなストーリしか知っていないのでご期待に添えるかは分かりません。なかなか占ツクに顔を出す事が出来ませんがこれからも宜しくお願いします。 (2017年9月23日 18時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く気に入った作品で大好きですもし今後他の作品を作る予定があったらワールドトリガーとコラボかトリップか転生した黒バスかアニメKか銀魂の銀時か高杉の姉か妹の作品が読んでみたいです説明が下手ならすみませんこれからも体調にきよつけてがんばてください。 (2017年9月23日 16時) (レス) id: 14f5017be6 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ひかるさん» コメントありがとうございます。なかなか占ツクに浮上する事ができませんが更新頑張りたいと思います。 (2017年6月17日 22時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる - ウォォォ!続きが気になります。(>_<)更新頑張って下さい! (2017年6月17日 14時) (レス) id: c10de46325 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ふにゃたさん» コメントありがとうございます。更新頑張りたいと思います。 (2017年4月3日 21時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雨雫 | 作成日時:2017年2月24日 23時