【ワールドトリガー】探偵社の銀髪さん。【文豪ストレイドッグス】

第四十四話 煙幕 ページ45

『ボーダーに侵入するのは簡単

此の基地には自動販売機が有るそうですね？貴方た
ちは其れを運ぶ人たちに紛れ込み 基地に入った処
で異能で姿を偽った』


淳は男を睨み付けそう続ける。


『ボーダー隊員たちが本部にいない深夜

ボーダーの幹部たちが会議の為に集まった隙に貴
方たちは司令室に侵入 カードキーを奪った

USBが盗まれたと判明する前の日 其の日は幹部の
中で会議が有ったと聞きました』


城戸をちらりと見れば城戸は無言で頷いた。


『当然司令室になら暗証番号を控えた紙も有る

貴方たちは其れを利用した』


男たちは其の後部屋に侵入。

情報が入っていそうなUSBを見つけ、其れを盗み出した。


盗んでしまえば此方の物。

男たちはカードキーを元に戻し、部屋に有ったトリガーで基地から出た。


『然し 此処で非常事態が起きました

盗まれた事が判明する迄時間が掛からなかった事


そして盗んだ物がボーダー自体を揺るがすような機
密情報で或った事』


『其の結果 城戸様たちは我々武装探偵社を頼り 依頼をしました』淳は小刀を鞘に仕舞い、其れを袖の中に差し込んだ。


『貴方たちは武装探偵社を相手にした時点で負けて
いたんです

荒事なんて日常茶飯事ですから』


目を細め、口角を上げる。


にこりと笑い乍ら淳は笑った。


『如何するのですか？此れから

私は素直に自首して警察に行った方が善いと思う
のですが』


『こうしてしまった以上 ポートマフィアから逃れるには捕まった方が最善の手だと思います』辺りには彼女の声だけが響く。

目の前の男は怯え、震えていた。


私は目の前の男が罪を自首するのかと考えた、そう、考えてしまったのだ。


賢治によって捕えられた男が身じろぐ。

其れを視界の端に入れた。


拙い。


そう考えた時には遅かった。


『！賢治さん！』


縄から抜け出した男の手には黒く筒型の何かが握られていた。

男は其れのピンを抜くと床に投げ付ける。


コン


軽い音が響いて、辺りに白い煙が噴き出した。


煙幕＿＿＿＿。


淳の脳裏に其の言葉が浮かんだ。


白い煙に男たちの姿が消えていく。


私も存外甘く為った物だ。


無意識の内に強く唇を噛み締めていた。


気配を探る。


城戸を護るようにして立つ迅と忍田。

其の隣りで同じく気配を探る谷崎。


そして離れた場所で「煙幕？」と言葉を発した賢治。



男たちの気配が無い。


薄らと元に戻りつつ或る室内に目を凝らした。

第四十五話 被弾→←第四十三話 狙い ＊挿絵有り

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