第四十話 真の犯人 ページ41
淳の中で酒は嫌いな物の類に入っている。
然し決して呑めない訳では無い。
寧ろ豊富な種類が有る其れを、昔は好いていた。
琥珀色に輝くウィスキーから葡萄酒やカクテル焼酎迄。
淳はザルで或る。
幾ら呑んでも大して酔わず、気付いた時には周りが酔い潰れている事はざらに或った。
数年前の或る出来事から酒を呑む事を封印し、殆ど呑む事の無くなった今現在。
昼間の出来事に無性に腹が立ち、何時の間にか社員寮へと向かっていた筈の足は近くのコンビニエンスストアの方へと向いていた。
『取り敢えず 太宰君に先刻調べた情報でも送りまし
ょうか・・・』
彼女はまだ気付いていない。
「・・・・・」
自分を監視する謎の人物に____。
彼女が其の存在に気付く迄そう時間は掛からないのだ____。
.
.
.
淳に頼まれ、暗い社員寮の自室で端末を弄っていた太宰は手を止めた。
「・・・拙い」
たらりと冷や汗が頬を伝う。
今回の事件、そう簡単では無かった。
端末に映し出されるのは『魔人』と呼ばれる或る存在について。
直ぐに電話釦をタップし、銀髪のあの彼女へと電話を掛けた。
コール音が二回聞こえた処で彼女が電話に出る。
『もしもし 太宰君?
如何かしましたか・・・?』
何時もより少し低めだが何時もの淳の声を聞き太宰は安心した。
然し、安心したのも束の間太宰は深刻な事態を伝える。
「淳 落ち着いて聞いてくれ」
『急に何です・・・・・?』
電話の向こうからは彼女の不機嫌そうな声が聞こえた。
喉がカラカラに乾いて仕方が無い。
「今回の件・・・単純に金目的の犯行じゃない」
『・・・・』
コツコツとヒール音だけが電話から聞こえた。
「此れは只単なる機密情報の漏洩事件じゃないんだ
よ
此れは・・・・・」
太宰の声がやけに大きく響いた。
「ポートマフィアの"元"傘下企業を巻き込んだ別の
人物による犯行だ・・・
真の犯人は別だ
目処は立っているけど 恐らく捕まえる事はできない」
『其の人物は?』淳の声が聞こえた。
太宰は絞り出すように其の名を呟く。
「"魔人" ドストエフスキー____」
133人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます。ワートリと文ストのクロスオーバーの話なら考えているのですが銀魂の方は大まかなストーリしか知っていないのでご期待に添えるかは分かりません。なかなか占ツクに顔を出す事が出来ませんがこれからも宜しくお願いします。 (2017年9月23日 18時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く気に入った作品で大好きですもし今後他の作品を作る予定があったらワールドトリガーとコラボかトリップか転生した黒バスかアニメKか銀魂の銀時か高杉の姉か妹の作品が読んでみたいです説明が下手ならすみませんこれからも体調にきよつけてがんばてください。 (2017年9月23日 16時) (レス) id: 14f5017be6 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ひかるさん» コメントありがとうございます。なかなか占ツクに浮上する事ができませんが更新頑張りたいと思います。 (2017年6月17日 22時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる - ウォォォ!続きが気になります。(>_<)更新頑張って下さい! (2017年6月17日 14時) (レス) id: c10de46325 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ふにゃたさん» コメントありがとうございます。更新頑張りたいと思います。 (2017年4月3日 21時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雨雫 | 作成日時:2017年2月24日 23時