てをつなごう (ページ9)

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治療ページ9

「まー…。」

「よしよし、気持ち悪いね～…。」

免疫抑制剤を打つ治療をしてる翔ちゃん。
副作用で熱が出て倦怠感があるみたいで。

ずーっと抱っこ。

「まー…」

「うん、一緒にいるからね～。」

「ぱー…」

「パパも後でくるからね。大丈夫だよ～。」

「あー、ぱー…、まー…。」

翔ちゃんは、まーくんにもべったり。
昼間はこんなにべったりなのに、まーくん帰ってきたらとたんにそっち。

やっぱ、こんなに小さくても男同士がいいのかなぁ？

「あーっこ！まー」

「抱っこしてるよ、翔ちゃん。大丈夫、大丈夫。ママはずっと一緒にいるからね。」

でも、どんなにまーくんが頑張っても、ママじゃなきゃいけないときもあって。

訳もわからず家じゃないところで寝て、毎日毎日痛い思いさせられて。

多少のわがままを言いたくなるのは、わからなくもない。
小さいからこそ分からなくて、不安だろう。

それを素直に伝えられる術をもってないから、辛いだろうな…。

「ただいま～！」

「あ、翔ちゃん、パパ帰ってきたよ～」

「ぱー…」

「はいはーい、ちょっと待ってね～。」

「ぱー」

「まっててね～。」

病室内、完全除菌だからね。
翔ちゃんからすれば、まーくんの姿が見えてるのになかなか来てくれなくて、意地悪されてるみたいなのかな？

まーくんが入ってきても

「や！」

「しょーちゃ～ん！」

許否。笑
あんだけ求めても、すぐ来てくれないとご機嫌を損ねちゃう。

我が家のおぼっちゃま。

「ははっ、フラれてやんの～。」

「潤～！」

「ちょ、じゃま。」

「ひどい…。」

「ふふっ。」

「あ、和まで～！」

「うちのおぼっちゃまの、ご機嫌損ねたら大変だよ～？」

「ごめんね～。翔ちゃんのためなんだよ～；；」

「パパ、いいよ～って。ね？翔ちゃん。大好きだよ～って。」

「っき～。」

「しょーちゃ～ん！」

「ぱー」

「ふふっ、仲直りだね～。」

だけど、やっぱり翔ちゃんはパパが大好きだから。
本当はすぐにでもまーくんに抱っこされて、愛を感じて、温もりを感じたいんだよね。

「ぱー」

「ただいま、翔ちゃん。おまたせ～。」

「ぱー、まー」

「うん、パパもママもいるからね～。」

「じゃあ雅紀、そのまま翔の気を引いててね～。」

自由にならない身だけど、毎日同じ時間に来る検温と診察。

もうすっかり、体温計が大嫌いで。
検温ひとつに大苦労。

気を引きながら、耳式の体温計をさっとね。