3話 ページ4
「別に。
大した用はねぇよ。
こんな戦況で、仲間を餓死させるわけにはいかねぇだろ」
白夜叉はぶっきらぼうに言いすてた。
白夜叉のことは、噂に聞いたことがあるくらいだった。
最新の武器を使う天人相手に、剣一本で立ち向かう男がいると。
戦場を駆ける姿はまさしく夜叉のようだと、ここらを担当する侍の間では有名な話だった。
けれど、実際に本人を目の前にすると何というか。
上手くは言えないけれど、これが白夜叉なのかと思ってしまった。
夜叉のような男というものだからもっと屈強で、睨みを効かせただけで相手の動きを封じてしまいような、そんな雰囲気を纏った男が現れるのだろうと勝手に思っていた。
「なに、お前。
俺みたいなやつが白夜叉なのか、とか思ってたわけ?」
「うん」
「即答かよ」
白夜叉はそういうと乾いた笑い声をあげた。
「笑うんだ」
「笑わないと思ってた?」
「うん」
とても端的で短い白夜叉との会話は、楽だった。
人と会話を交わしたのは、一体いつぶりだっただろうか。
戦場を駆けていると、時間の感覚すら狂ってしまうのだ。
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凛 - 最高です!胸がどきどきして止まらなかったです!泣きそうになりました。 (2023年1月8日 21時) (レス) @page28 id: 2bc0f45ebb (このIDを非表示/違反報告)
けんそう(プロフ) - kayaさん» そんな風に言ってもらえてとても嬉しいです!至らない点もあったかと思いますが、そう言ったコメントがとても励みになります。ありがとうございます! (2018年8月8日 8時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
kaya(プロフ) - なんだか読み終わった後、目頭があつくて、気づいたら涙が出ていました。文章が綺麗な素敵な作品だったと思います。 (2018年8月8日 0時) (レス) id: 504932b45f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年6月10日 21時