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1話 ページ2

屋根がついた場所で寝ることができるなんて、三日に一度あるかないかだった。



たまたま運良く、進んだ場所に使われていない空き家があったので、そこを寝床として拝借した。



蚊に刺されそうだな、なんて思いながらも縁側へ腰掛ける。



家の中の方は、蒸し暑くて仕方ない。







幾つにも重なる鈴虫の鳴き声を聞いていると、自分が戦線に立っていることを忘れてしまいそうだ。




私は今日も、腰に下げたこの刀で人を斬ったのに。




小さく伸びをして、空に浮かぶ大きな月を見上げた。









まるで、生きた心地がしない。


人に流されるがままに参加したこの攘夷戦争に、果たして意味はあるのだろうか。


そこの誰とも知らない人を斬って、殺して、進んでゆく。



きっとこの攘夷戦争を率いるような大将には、そこまでして守らなければいけない何かがあるのだろう。




故郷の家族の為に戦うという人。
侍の威厳を守る為に戦うという人。


今まで沢山の人を見てきた。




けれど。




私にはそんな大それた大義も、守らなければいけないものもなかった。

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- 最高です!胸がどきどきして止まらなかったです!泣きそうになりました。 (2023年1月8日 21時) (レス) @page28 id: 2bc0f45ebb (このIDを非表示/違反報告)
けんそう(プロフ) - kayaさん» そんな風に言ってもらえてとても嬉しいです!至らない点もあったかと思いますが、そう言ったコメントがとても励みになります。ありがとうございます! (2018年8月8日 8時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
kaya(プロフ) - なんだか読み終わった後、目頭があつくて、気づいたら涙が出ていました。文章が綺麗な素敵な作品だったと思います。 (2018年8月8日 0時) (レス) id: 504932b45f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:けんそう | 作成日時:2018年6月10日 21時

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