16話 ページ17
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一人にしてほしい。
Aは、そう言った。
「ああ。
分かったよ。
じゃあな。」
きっと、Aは最後だからと言って、特別な挨拶など望んではいないだろう。
目の目で、長い間家族のように接してきた奴が、今その生涯を終えようとしている。
言いたいことは、有り余るほどあった。
謝りたいことも、沢山ある。
こうなってしまったことを悔やめば、キリがない。
けれど、それを全部切り捨て、俺は笑った。
「うん。
銀時も気をつけてね。」
いつものように。
まるで時間が来たからと家に帰る子供のように。
俺とAは別れを告げた。
雲ひとつないこの日の空を、俺は永遠に忘れないだろう。
・
涙が溢れて、止まらなかった。
銀時といるときには我慢できたのに、一人になった今、それが抑えられない。
「いや、だ。
もっと、いたかったっ...!」
自分が我が儘なことくらい分かっていた。
止められたにも関わらず、戦場へ来たのは私。
銀時を守りたいと言ったのも私。
銀時を守るには、命の一つくらい捨てないといけないことは、なんとなく分かっていた。
分かっていても、それを目の前に突きつけられると、こんなにも悲しく怖いものなのか。
「またね、銀時。」
だから、少しでも気を紛らわせるために。
また会えること、期待してもいいかな。
ゆっくりと、思い瞼が閉じていった。
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凛 - とても良かったです! (2022年12月20日 19時) (レス) @page36 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
けんそう(プロフ) - 岩長漆@三色団子と朧大事さん» ありがとうございます!そういったコメントが一番の励みになります!今後も皆さんにお話を届けられるよう頑張ります! (2018年6月11日 8時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
岩長漆@三色団子と朧大事(プロフ) - 突然失礼いたします、岩長と申します!けんそう様の作品読ませて頂き、とても感動しました!次作の方も頑張ってください!応援しております! (2018年6月10日 22時) (レス) id: c1dc633bc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年2月10日 20時