7話 ページ8
“つらくて、悲しい“
そいつは、震える声でそう言った。
「だから、私も__」
「駄目だ。」
だから私も行く、と言おうとしたのだろう。
残された側がどれだけ辛かろうが、悲しかろうが、俺はAを戦場へは連れていけない。
かといって、俺が攘夷戦争に行かない訳にもいかない。
松陽を取り戻すためには、もう戦争へ行くしか方法がないのだ。
Aも、松陽を取り戻したいと思っている。
そして、取り戻すためには戦争へ行かなければいかないことを、知っている。
だからこそこいつは、俺を止めない。
変わりに、自分も行くというのだ。
「俺は戦場で、お前を守れるほど強くねぇんだよ。
だから来んな。」
分かったか、と念を押して俺はAに背を向けた。
Aがその時どんな顔をしていたかは今でも分からない。
俺には、自信がなかった。
松陽を取り戻すために戦場で剣を振るい、尚且つAまで守れる自信が。
役人から松陽を守ることのできなかった自分が、Aの命を預かれる気が、しなかった。
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凛 - とても良かったです! (2022年12月20日 19時) (レス) @page36 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
けんそう(プロフ) - 岩長漆@三色団子と朧大事さん» ありがとうございます!そういったコメントが一番の励みになります!今後も皆さんにお話を届けられるよう頑張ります! (2018年6月11日 8時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
岩長漆@三色団子と朧大事(プロフ) - 突然失礼いたします、岩長と申します!けんそう様の作品読ませて頂き、とても感動しました!次作の方も頑張ってください!応援しております! (2018年6月10日 22時) (レス) id: c1dc633bc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年2月10日 20時