月と嘘 (ページ16)

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十三話ページ16

「よっしゃあ、ダンジョン遠征みんなごくろうさん！今日は宴や！飲めぇ!!」

【ロキ・ファミリア】の主神、神ロキが立ち上がり音頭を取るとファミリアの人達は騒ぎ出した。

そんな人達を興味津々で見ているとシルさんが

「【ロキ・ファミリア】さんはうちのお得意さんなんです。彼等の主神であるロキ様に、私達のお店がいたく気に入られてしまって」

と、教えてくれた。

ベルめ、嬉しそうにしやがって。
私が半ば恨みがましく睨めつけるが効いてないみたい……むー。

「そうだ、アイズ！お前のあの話を聞かせてやれよ！」

「あの話……？」

アイズと言う言葉にベルが過剰に反応する。

「あれだって、帰る途中で何匹か逃がしたミノタウロス！最後の一匹、お前が５階層で始末しただろ!? そんで、ほれ、あん時いたトマト野郎の！」

「……」

ついついベルの方を見てしまう。

「ミノタウロスって、17階層で襲いかかってきて返り討ちにしたら、すぐ集団で逃げ出していった？」

「それそれ！奇跡みてぇにどんどん上層に上っていきやがってよっ、俺達が泡食って追いかけていったやつ！こっちは帰りの途中で疲れていたってのによ～」

これは確実に私達、いや、ベルの話だ。

「それでよ、いたんだよ、いかにも駆け出しっていうようなひょろくせえ冒険者(ガキ)が！抱復もんだったぜ、兎みたいに壁際に追い込まれちまってよぉ！可哀想なくらい震え上がっちまって、顔を引きつらせてやんの！」

「ふむぅ？それで、その冒険者どうしたん？助かったん？」

「アイズが間一髪ってところでミノを細切れにしてやったんだよ、なっ！」

ベルが笑い者にされてる。
そう考えると体がかっと熱くなる。