始まり ページ4
−−私が初めてその瞳を開けた時、目にしたのは優しい微笑みを浮かべた二人の男女だった。
夫婦と思われるその二人は、とても安心したように嬉しそうに笑って私を見つめていた
それが私が初めて見た、私の"両親"の顔だった。
「あぅ?」
「んー?どうした?」
「あらあら、ふふ。とっても可愛いわねぇ」
黒髪を靡かせる男と、明るい茶の髪を持った女性。その人たちは優しく私を撫でてくれた。
すると、近くの襖が開かれ一人誰かが入ってきた。黒髪の男によく似た男
「お、何じゃAが起きたのかい?」
「おう、親父来たのか。見てみろよすげぇ別嬪さんだぜ」
「どれ……。ほう、本当じゃのう」
親父、と呼ばれるこの人はこの黒髪の男のお父さんらしい。私は黒髪の人の腕から、金色のような髪をした男の人の腕へと渡された。
「にしても、何処にも怪我が無いようで良かったのう」
「そうだな、急にうちに犬守が来た時は何事かと思ったが……。コイツが無事で何よりだ」
「嗚呼、じゃがこの子は天羽の一人娘。それに加え先祖返りの身。彼奴らを殺した者たちにバレでもしたらこの子も狙われるじゃろう」
殺された、天羽の一人娘、先祖返り
様々な言葉を発する目の前の人達の言葉が、何故か私には何となくだが分かっていた。
私は、この家の子ではないのだ。−−きっと、さっきの夢の中にいた女の人の娘なのだと。
そう、何となくだが確信した。赤子である自分がなぜ彼らの話を理解できたのかは不明だがこの人たちはどうやら私を助けてくれたようだ
「だぅ?あーぅ」
「ん?どうした?わしの髪が気になるのか」
「あぅ、あー」
「はは、良いぞ。好きに触ると良い」
私が男の髪へと手を伸ばすと、目の前の男は笑いながら私の手を髪の方へと近付けてくれた。
「あぅ、うぅ」
「気に入ったか?」
「だぁう、うぅ」
「そうかそうか、それは良かったわい」
さらさら、ふわふわとした感触の金色のような銀色のような髪へと触れる。時折、擽ったいのか笑う彼は優しく私の髪も撫ぜてくれた
そうして、男に程よいテンポでぽんぽんと背中を叩かれ始めると赤子の私をすぐに眠気が襲う
私はその行為が続くと、ゆっくりと瞼が下へと降りてきた。最後に見たのは優しい笑みを浮かべた三人の人達の顔だった。
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遊星(プロフ) - 千本桜さん» 分かりました (2020年6月23日 0時) (レス) id: cc3dcebb37 (このIDを非表示/違反報告)
千本桜(プロフ) - 遊星さん» 閲覧、ありがとうございます!更新停止になっていましたか!?少々、コチラで調べてみます。教えて頂きありがとうございます!これから更新は続けて行きますので、よろしくお願いします (2020年6月22日 23時) (レス) id: e733f5adaf (このIDを非表示/違反報告)
千本桜(プロフ) - シルバーウルフさん» 閲覧、ありがとうございます!これからどんどん更新を怠らぬように頑張って行きますので、今後ともこの小説をよろしくお願いします (2020年6月22日 23時) (レス) id: e733f5adaf (このIDを非表示/違反報告)
遊星(プロフ) - 更新停止になってますが大丈夫ですか?素敵な話なのに更新停止は勿体無いです。早く続き読みたいです。 (2020年6月22日 23時) (レス) id: cc3dcebb37 (このIDを非表示/違反報告)
シルバーウルフ - 設定が凄く面白いですね。(o・ω・o)更新楽しみにしてます。(o^O^o) (2020年6月22日 18時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千本桜 | 作成日時:2020年6月22日 14時