【文スト】罪の糸 (ページ4)

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序章Ⅲ ページ4

貴「あんまり？其れは、私の台詞(セリフ)だ。君には、失望したよ。前来た彼らの方が、もっとマシな答えを出していた」

そう云い、ナイフをするりとその細い指でなぞりながら見つめる槙島に男は打ち震えた。

貴「嗚呼、残念だ。だが、安心して欲しい。君は、コレから殺されるが苦痛なく殺してあげよう。其れが、哀れな君に贈る最後の贈り物だ」

男「あ、や、止めてくれッ！！た、助け……！！」

男が、そう悲鳴にも似た叫びを上げ槙島に助けを乞う。だが、そんな願いも虚しくその手に持たれたナイフは振り下ろされた。

貴「さようなら、哀れな役人殿」

その呟きと共に、ブシュッと首にナイフが刺さり鮮やかな鮮血が宙を舞う。そして、槙島の顔に数滴血が着く。

ナイフは、男の喉元深くに突き刺さりピクリとも動かなくなっていた。先程まで、涙を流し助けを乞うていた体は今や唯の肉の塊となっている。

そんな、突き刺さっていたナイフを何事もなくズブリと抜き取る槙島。その顔に、表情はなくするりと血の着いたナイフを撫でた。

貴「……ふむ、また答えを聞き損ねてしまった。さて、次はどの本を読もうか。また、ガリヴァー旅行記でも読んでみようか」

そう云いながら、槙島はコツコツとまた足音を鳴らしながらその部屋を後にした。

そして、そこに残ったのは数人の男たちの死体と夥(おびただ)しい血の海だけだった……。