演劇科の逆先さんは弟が可愛くて仕方がない【あんスタ】

8話 ページ8

｢Aさんと夏目くんは喋り方も一人称も同じですからね。お顔も似てますし｣


｢……あぁ、逆先の姉か…！｣



そう言ってこちらを驚いたように見る黒髪くん。……夏目の知り合いなのかな。

…というか。





｢……キミ、もしかしなくてもホッケーマスクくんだよネ？｣


｢なっ…？！……あ？え？、なんｯ…｣


｢あんな仮面程度で誤魔化せると思ってたノ？もしも本気で身バレを防ぐつもりでいたのなラ、仮面を用意したであろう日々樹の落ち度だヨ｣




動揺しているのか見た目にそぐわない慌て方をしている。まぁ君のせいではないよ、10:0で日々樹が悪い。



｢北斗せんぱ〜い？どうしたんで＿＿＿＿
…ぎゃあ！！…逆先Aさんだ…ｯ！！｣



新しく扉からでてきたこっちの子は私の顔を見るなり驚いた顔をしていた。
うん、普通の反応って感じだね。

このままだと収拾がつかなくなってしまうので、とりあえず演劇部の部室にお邪魔した。

扉の前でまだ惚けてしまっている子に慣れた手つきでドレスを着させている日々樹。






｢…なにアレ、常習犯？｣



｢あぁ…友也には悪いが、俺には部長を止める手段がないから止めることも出来ない。とりあえず場が落ち着くまでそこのソファに座っていてくれ。お茶を出そう｣



｢ありがとウ♪でもお気遣いなク、そういうのはぜぇんぶ日々樹にやらせるかラ｣





Aさんのご指名とあらば！なんていつの間にか着替えを終わらせ、自分も可愛らしいドレスを着た日々樹が髪の毛で紅茶を注ぎ始めた。

別に指名とかして無いけど。



｢画面越しに見るあなたも素敵ですが、やはり何も通さないありのままの貴方がいちばん素敵ですね…☆｣


｢……｣


｢んもぉ〜無視しないでくださいってばぁ〜｣




構ってちゃんかコイツは。まぁ実際そうなんだろうけどね。





｢…………ｯﾊ…あれ、ん？……うわぁぁ！！おい変態仮面！俺の制服返…ぅおっ、丁寧にヒール履かせるなよ！！｣

｢友也くんも、ヒール履いたまま社交ダンスができる程度のバランス力を身に付けなさい。いつか女性役をする時に困りますよ？｣

｢だとしても今じゃないだろ今じゃ！！…あーもう、逆先Aさんが居るのに……えっ、なんでいるんですか？｣






情緒不安定かなこの子は。

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