52話 初代聖女様 ページ10
「…私的には、偽の聖女とスパイを両方殺す事がおすすめだと思うわよ」
女性が、少し冷めた目で私達を見ていた。
「…どうして?」
「だって、スパイが偽の聖女を殺した後に貴方がスパイを殺せば晴れて英雄になれるんじゃない?」
確かにそうかもしれない…けど、そんなのじゃぬる過ぎる。
「…お言葉ですが、彼女の中で私は悪役らしいです」
何を言い出すんだろう、と不思議そうな目で見てくるがそこに興味というものも存在していた。
「確かに殺してしまえば、英雄になれるかもです。確実では無いですが……
でも、そんなのじゃ悪役として動くなら甘すぎると思いませんか?彼女が望む私は悪役…ならそれに応えてあげるのもアリかな、と。
ただ一つ違うことは、私が本物だと言うこと。
ほんの少し、苦しんでくれれば満足です」
驚いたように目を見張った黒髪の女性は、ククッと喉を鳴らして笑う。
「…っく…あははっ!!おかしいわねぇ…
貴方みたいな聖女は初めてよ…人間味があって私は好きよ?復讐もしたいって事なのね」
悪役として、人間として当たり前だと思わない?
「A先輩って意外と執念深いんですね…」
「ダメなの?」
「いえ、もっと先輩の事好きになりましたよ」
見えないが、ふっと笑った事はわかった。
「なら早速、この国を救いの道へ導きなさい」
優しげに目を細めたその女性…あぁ…やっと誰か分かった。
「A、チーノ…この国を頼みます」
「…はい、初代聖女様」
分かったのね、と少し嬉しそうな声を最後に私たちの意識は再び暗闇に溶けていった。
目を覚ましたら、何からしよう。まずはスパイの排除からかな。……倒れて心配してくれたのゾム先輩だけなんだろうなぁ…
まぁ、先輩さえ心配してくれればいいや。その方が嬉しいし。
まぁ、首洗って待ってなよ…ロン・ディスペア
「…ぅ……っ…」
「…んぅ……あ、れ……先輩がいる…」
目を開くと、隣のベットで同じように横たわっているチーノが居た。
「…俺たち、戻ってきたんですね……」
「そうみたいだね…」
不思議と、冷静だった。やらないといけない事が沢山だ…何から終わらせていこうか……
ベットから起き上がり、ギシッという音にしんぺいさんが、ぇ…と声を漏らしていた。
シャっとカーテンを開き、驚くしんぺいさんに笑って言った。
「おはようございます、しんぺいさん」
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ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年6月6日 9時