77話 証明をいざ ページ37
「本当の聖女様は、もうここにいますから」
そう言ったチーノが、真っ直ぐと私の方に歩んでくる。グルッペン様の傍で立っている私の目の前で止まり
ゆっくりとフードを外した。
視界が開けて、遮られていた絢爛さが瞳に映し出される。不安げな顔を見て…表情を変えられるのは私だけ、なんて思ったりして。
私のフードを外したチーノが目の前で跪く。
「…A様、どうぞこちらへ」
差し出された手を取り、足を踏み込んだ。
「黄金の瞳……」
そう呟いた神父様が、希望に満ちた顔に変わる。その一方、どん底に突き落とされたような表情のレティ…
誰もが言葉を発していない教会の中、女神像の目の前、二人で立ち止まる。
何度も助けられた人が、像となりそこに居た。
「…二人の名をなんという」
「Aです。A・フリージア」
「チーノです」
「…いい名前だ。
改めて、聖女A…その名において……この国の聖女となり役目を果たすことを誓うか」
「はい」
そういい、チーノと目を合わせ微笑み合い…二人の腕を女神像にかざした。
刹那、女神像から光が溢れてきて私達の腕を光で包んでいく。
思わず目を閉じたくなる眩しさ…それでも、何故か見ていたいという気持ちが勝った。光の中、私達の腕に描かれていく印を見た。
“ありがとう。A、チーノ”
柔らかな声が脳に響いた。
光が収まり、会場の人達が目を開ける。
「…あ、れは……!」
私も、チーノも驚いた。
私の腕に聖印の半分が描かれ、もう半分はチーノの腕に描かれていた。
まるで、合わせ絵だ。
その印を見た神父様は、優しい笑みを浮かべた。
「…聖女A、預言者チーノ…この国をどうかお守りください」
その言葉にしっかりと頷き、振り返り会場の人たちを見た。
「…改めて、A・フリージアと申します。
“聖女”として大切なこの国を支えることを、必ず誓います」
1人の拍手が、徐々に全員へと変わる。まだ驚いている幹部の方々を見てその顔がなんだか可笑しくて。
……もちろん、納得していない女がまだ一人いる。
「…なんで……なんでよぉっ…!聖女はレティなのにっ、嵌められたの!悪女に!Aに!嵌められたのよ!!
罪人を捕まえなさい…!どうして言うことを聞かないの!!聖女の言うことが聞けないの!?」
それまで黙っていたグルッペン様が無表情で口を開いた。
.
更新遅くてごめんなさい…
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ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年6月6日 9時