【d!】貴方に憧れたから、ヒロインのような特別にはなりたくなかった season2【zm】【軍パロ】

46話 預言者の過去話 ページ4

ただ生きていた。



五体満足、家族にも恵まれ幸せな日々を送っていた。

学校で友達と馬鹿やったりイタズラして先生に怒られたり…そんな毎日。

そんな幸せな日々も呆気なく終わった。友達と別れた帰り道、知らない男にこう言われた。



『やっと見つけました……預言者様』


視界が暗転。

もう一度目を開けば全く知らないところ。何が何だか分からず…鏡に映った自分を見て絶望。

そこに居たのは幼い頃の俺。


俺が来てしまったのは…



自分の母親らしき女が男を騙して金を巻き上げ、娯楽の為に使う事を繰り返している見るに堪えない環境だった。

その女は男から金が取れなかった日は俺に当たってくる。痛いし辛いし何度も逃げ出そうとしても逃げられない。



突然過ぎて頭も追いつかずただただ帰りたいと思う日々。

閉じ込められる部屋の中は香水の匂いが充満していて吐き気がするくらいだった。

ここで過ごし2年がたった頃、女と揉めた男が家に火を放った。燃え上がっていく炎を見て、やっと楽になれるんかな…

なんて思って。


部屋を出ようにも鍵がかかっているから出られない。死を待つのみ。

だから扉が開いたことは俺にとって予想外の出来事だった。

そこから俺を覗いていたのは、何を間違えようこの国の総統であるグルッペン･フューラーだった。


｢着いてこい｣


たった一言だけを信じ、その後を着いて行った。

着いた所は森にある質素な小屋。




｢…どうして、俺をここに連れてきたんですか…｣

振り返った総統様は悪い笑みを浮かべていた。何故か嫌ではなかった。



｢君が、イレギュラーだな？｣




これが、俺とグルッペンさんの出会い。

最初こそイレギュラーなんて言われて意味が分からなかった。

それでも今になってやっと分かった。



預言者とは…真の聖女を見つけ出し共に国を導く重要な役割。

恩人であるグルッペンさんの為に、俺は俺に出来る最善を考えた。




｢とりあえず、城で務めてみようってなった時に…A先輩と出会ったんです。

その時はまだ先輩が聖女っていう確信は持てなかったけど…今なら自信を持って貴方が聖女様だと言える｣




俺の目に映る貴方は、誰よりも綺麗だから。





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