【d!】貴方に憧れたから、ヒロインのような特別にはなりたくなかった season2【zm】【軍パロ】

57話 拒絶 ページ15

鬱side


俺は、一体何を間違えたんや。

ゾムが倒れてしまった彼女の名前を叫んでいる中、考えていた。


レティが、Aがスパイやって、言ったから撃ったんや。聖女様の言うことに間違いあるわけないやん……

なのに、なんやこの違和感……おかしい、何かがおかしい。


｢っ、きゃあああっ！！！｣



隣で聞こえた悲鳴にも、目を向けることが出来なかった。俺の目に映るのは血を流して動かないAとゾムだけ。


｢レティ、大丈夫か！｣

｢しゃ、シャオちゃん……｣



行かないと、彼女の所に、Aに……謝らんと。


｢…A、俺……っ｣

足を踏み出そうとした時、袖を捕まれ振り返れば……


そこには今までに見たことない奴がいた。

こんなん、レティとちゃう。こんな汚れた目はしとらんかった……


｢大先生……？｣

｢…っ！｣




こんな奴に構ってる暇ないわ。




この時、俺は初めて彼女の手を振り払った。その時の表情は、今まで見てきた女の中で一番醜かった。

俺は、今まで何を見てたんや……




｢…っA！！｣


ぐったりとしているAの意識はないようで、ゾムも取り乱していた。


｢ゾムさん！！落ち着いてくれ！｣

｢…っ、大先生……お前っ！｣

｢俺を殺すなら後にせえ！！まずAが優先やろ！｣

｢…っ、くっそ……｣



しばらく経って、しんぺいさんとチーノが来た。チーノはショックを受けたようにその場で崩れた。

しんぺいさんはAを早急に医務室へと運んだ。



その姿をじっと見ているゾムを見て、改めて自分がどれだけ軽率なことをしてしまったか身に染みた。


｢…ゾム、さん……先輩は、先輩は大丈夫なんですよね…！…なんとか言ってくださいよ！！｣

｢…Aを信じるしか無いやろ……｣



ゾムの絞り出すような声音に、胸がまた締め付けられた。

｢…ゾム、俺……っ｣

｢…なんで、あん時撃ってん……お前が、お前があん時撃たんかったらAはあんな怪我しいひんかったのに！！

1発の弾くらい、Aなら……っ大先生の馬鹿野郎が！！！｣


胸ぐらを掴まれ、思いっきり頬を殴られる。鉄の味が口に広がるがそれを俺は受け止めないといけない。


｢…ごめんなぁ……ごめんなぁゾム、A…っ｣



いかに自分が無能だっか、矮小だったか、馬鹿だったか……

合わせる顔もねぇわ……








































Aが目覚めて、10分も経たずしてこの事件は幕を下ろした。

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