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焼酎『梶井基次郎』 ページ9

何故か、後輩の実験大好き野郎に連れて来られた私。只今絶賛、薬の匂いが充満する中で酒盛りをしている。

「かじろー!肴が切れたァ!帰らせてぇ!」
「ダメだ!君が居ないとダメなんだあ!!僕の実験は成功しない!!」
「じゃあ、ツマミくれ」

実験用具が置かれている部屋。適当に場所を作って座っている為、私としては酷く不便なのだ。
頼んだ所で、かじろーからツマミを手渡された。観察すると酷く怪しい色をしたナニカだった。手をつけたくない。

「お前に頼んだ私が莫迦だったわ、買ってくる」
「外には出ないでくれ!君が、君が居なくちゃ始まらないんだ!」
「煩いよ!実験狂いの童貞野郎!!」

キレて立ち上がり、出口に向かう。腕を捕まれ縋られる。余りに怒っている私の態度がわからないらしい。泣いて泣いては駄々を捏ねる。

「僕は確かに童貞だけど!でも頼む!真面なモノは僕が買ってくるから!檸檬でいいじゃないか!」
「酒はストレート派なんだよ私はァ!!!」

異能で何も無い空間から刀を取り出す。身を危険を感じたらしい梶井が手を離した。その隙に逃亡。というより、買い物に出た。

コンビニで摘みを物色。刀は腰に差している。

「やっと解放されたんだな」

男性にしては高いキー。ロックが似合いそうなその声を伝い、視線を移す。そこには、何時もより軽装の中原幹部が居た。

「どもっス」
「おう。何を探してんだ?」
「摘みと、焼酎の二本目を」
「オヤジか手前は」

そう言いながらも、私の横で一緒に物色してくれる中原幹部。然うした心遣いが、可也の部下を虜にしている事。この人は理解してるのだろうか。
私は興味無いんだけれどね。私の恋人は酒だから。

「お勧め有ります?」
「俺はブロックチーズの三種盛りとか……そんなんだな」
「葡萄酒好きですもんね」
「まァな」

摘みのコーナーで立ち往生する私達。
迷っている間に、コンビニの入口が音楽を鳴らして開いた。荒い息が聞こえ、中原幹部と共に横を見る。かじろーが息を切らして立っていた。

「す、すみま、せ、中原幹部……彼女を、返していた、だき」
「おーおー、そうか。取り敢えず手前は喋る前に息整えろ。そんでもって、何で元凶は無視決め込んでんだ?」

横でかじろーを宥める中原幹部を放置。ツマミ選びに夢中。チー鱈と、あ、鮭とば!歌舞伎揚げも中々……いいツマミなんだよねぇ……なんて思っていたら、手首を梶井に掴まれた。

「僕が作ろうじゃないか!酒によく合う」
「要らない」

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いちご(プロフ) - ミラから来たぞおおおぉ! に、しても評価凄いですね!Σ(゚ロ゚;) (2020年6月21日 14時) (レス) id: 3cbabf2902 (このIDを非表示/違反報告)
モフ子 - 道化さん» 全然OKです。後見させてもらいました、兎に角好き(語彙力Maxです。 (2019年8月4日 17時) (レス) id: 7dc88695a1 (このIDを非表示/違反報告)
道化(プロフ) - 書かせて頂きました!お仕事疲れとの事なので、ちょっと絡めたお話を。ゴーゴリ「頑張った子には、ご褒美がいるよね!私は分かっているのさ!」 (2019年8月2日 18時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
道化(プロフ) - モフ子さん» 了解しました!リクエスト内容は、シリーズ最新作の「恋は下心」の方に投稿させて頂きますが、大丈夫でしょうか? (2019年8月2日 18時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
モフ子 - リクエストしても宜しいでしょうか?天人五衰のゴーゴリ君っていいですか?シチュエーションは何でも構わないのでお願いします!仕事帰りに癒されたい!どうか私の我儘を聞いて下され (2019年8月2日 11時) (レス) id: 7dc88695a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:jazz | 作成日時:2019年4月26日 19時

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