検索窓
今日:3 hit、昨日:9 hit、合計:103,651 hit

オーロラ『旧双黒』※ららさんリクエスト ページ39

とある路地。私は其処で見知った顔と巡り会った。

「あ」
「あン?」
「あー!」

私を見た途端に飛び付いてくる上司をサラリと避け、同僚に歩み寄る。
彼は軽く左手を上げる。私も左手を上げてる。二人でパチンっと軽い破裂音を響かせながら平手を合わせ、互いの握り拳同士を軽くぶつける。

「お疲れ」
「手前もな」
「一寸ぉ、Aちゃん!?一応私、上司なのだけど!?」

後ろで喚く上司に対して身体毎向き直る。ぷんすかぷんぷん。頬を膨らませ、そんな音が聞こえてきそうな可愛らしい怒り方をしていた。女である私も顔負けだ。
そんなご機嫌ナナメな上司に向けて肩を竦める。

「すみません。条件反射で」
「ねえ?絶対違うね?私が来た時、態とらしく足引っ掛けたでしょ?絶対違うよね?」
「わあ、発。情期の野良猫が鳴いてる」
「にゃあ!……ってそうじゃない!」

同僚の仇だ。何時も嫌がらせしやがって。そう思いながら上司を一瞥。同僚の居る前方へ向きを戻すと、彼は大笑い。余程スカッとした様だ。涙まで見える。

少しばかり歩みを進めてから、彼等に向き直って首を傾げる。

「今から私、飲み行く予定なんですけど……来ます?」
「お、良いなァ……」
「私も賛成しておこう」

私は二人の返事を聞いてから前方へ歩みを進める。後ろから二人分の足音と、言い合い。……同僚個人では上司である彼に勝てない様だ。助け舟として、異能で蜘蛛達に指令を出しておく。

石を足元すぐ近くに置く。見事にずっこける上司。

「あははははっ!ざまァ見やがれクソ太宰!」
「ムカつく……ていうか、Aちゃんはどれだけ私の事嫌いなのさ」

誤解を生んでしまったようだ。訂正しようと振り向く。転けた体制のままぶすくれる上司の傍に寄り、頭を撫でる。

「私は太宰さんに好意的ですよ。じゃなきゃ悪戯なんてしませんし」

立ち上がり、また前を歩く。少し恥ずかしくなってきた。同僚が私の隣に歩み寄る。その表情は何処と無く不機嫌。

「如何したの?」
「お、俺の事は……どうなんだよ……」
「ああ、うん。普通に好き」

軽く返す。隣から溜息が聞こえた。何か気に食わない事でも言っただろうか?尋ねようとした時に、頭をワシワシと撫でられた。

「な、何!?」
「手前は俺に向けては本当に軽いな。躍起になってるのも莫迦みてェになってきた……」
「は?」

同僚が訳のわからない事を言う。子供の嫉妬の様なモノだろうか?まあ、仲良い子が嫌いな奴とつるんでたら嫌だよなぁ……

※→←アプリコットフィズ『条野採菊』※ゆらさんリクエスト



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (77 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
153人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

いちご(プロフ) - ミラから来たぞおおおぉ! に、しても評価凄いですね!Σ(゚ロ゚;) (2020年6月21日 14時) (レス) id: 3cbabf2902 (このIDを非表示/違反報告)
モフ子 - 道化さん» 全然OKです。後見させてもらいました、兎に角好き(語彙力Maxです。 (2019年8月4日 17時) (レス) id: 7dc88695a1 (このIDを非表示/違反報告)
道化(プロフ) - 書かせて頂きました!お仕事疲れとの事なので、ちょっと絡めたお話を。ゴーゴリ「頑張った子には、ご褒美がいるよね!私は分かっているのさ!」 (2019年8月2日 18時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
道化(プロフ) - モフ子さん» 了解しました!リクエスト内容は、シリーズ最新作の「恋は下心」の方に投稿させて頂きますが、大丈夫でしょうか? (2019年8月2日 18時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
モフ子 - リクエストしても宜しいでしょうか?天人五衰のゴーゴリ君っていいですか?シチュエーションは何でも構わないのでお願いします!仕事帰りに癒されたい!どうか私の我儘を聞いて下され (2019年8月2日 11時) (レス) id: 7dc88695a1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:jazz | 作成日時:2019年4月26日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。