オーロラ『旧双黒』※ららさんリクエスト ページ39
とある路地。私は其処で見知った顔と巡り会った。
「あ」
「あン?」
「あー!」
私を見た途端に飛び付いてくる上司をサラリと避け、同僚に歩み寄る。
彼は軽く左手を上げる。私も左手を上げてる。二人でパチンっと軽い破裂音を響かせながら平手を合わせ、互いの握り拳同士を軽くぶつける。
「お疲れ」
「手前もな」
「一寸ぉ、Aちゃん!?一応私、上司なのだけど!?」
後ろで喚く上司に対して身体毎向き直る。ぷんすかぷんぷん。頬を膨らませ、そんな音が聞こえてきそうな可愛らしい怒り方をしていた。女である私も顔負けだ。
そんなご機嫌ナナメな上司に向けて肩を竦める。
「すみません。条件反射で」
「ねえ?絶対違うね?私が来た時、態とらしく足引っ掛けたでしょ?絶対違うよね?」
「わあ、発。情期の野良猫が鳴いてる」
「にゃあ!……ってそうじゃない!」
同僚の仇だ。何時も嫌がらせしやがって。そう思いながら上司を一瞥。同僚の居る前方へ向きを戻すと、彼は大笑い。余程スカッとした様だ。涙まで見える。
少しばかり歩みを進めてから、彼等に向き直って首を傾げる。
「今から私、飲み行く予定なんですけど……来ます?」
「お、良いなァ……」
「私も賛成しておこう」
私は二人の返事を聞いてから前方へ歩みを進める。後ろから二人分の足音と、言い合い。……同僚個人では上司である彼に勝てない様だ。助け舟として、異能で蜘蛛達に指令を出しておく。
石を足元すぐ近くに置く。見事にずっこける上司。
「あははははっ!ざまァ見やがれクソ太宰!」
「ムカつく……ていうか、Aちゃんはどれだけ私の事嫌いなのさ」
誤解を生んでしまったようだ。訂正しようと振り向く。転けた体制のままぶすくれる上司の傍に寄り、頭を撫でる。
「私は太宰さんに好意的ですよ。じゃなきゃ悪戯なんてしませんし」
立ち上がり、また前を歩く。少し恥ずかしくなってきた。同僚が私の隣に歩み寄る。その表情は何処と無く不機嫌。
「如何したの?」
「お、俺の事は……どうなんだよ……」
「ああ、うん。普通に好き」
軽く返す。隣から溜息が聞こえた。何か気に食わない事でも言っただろうか?尋ねようとした時に、頭をワシワシと撫でられた。
「な、何!?」
「手前は俺に向けては本当に軽いな。躍起になってるのも莫迦みてェになってきた……」
「は?」
同僚が訳のわからない事を言う。子供の嫉妬の様なモノだろうか?まあ、仲良い子が嫌いな奴とつるんでたら嫌だよなぁ……
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いちご(プロフ) - ミラから来たぞおおおぉ! に、しても評価凄いですね!Σ(゚ロ゚;) (2020年6月21日 14時) (レス) id: 3cbabf2902 (このIDを非表示/違反報告)
モフ子 - 道化さん» 全然OKです。後見させてもらいました、兎に角好き(語彙力Maxです。 (2019年8月4日 17時) (レス) id: 7dc88695a1 (このIDを非表示/違反報告)
道化(プロフ) - 書かせて頂きました!お仕事疲れとの事なので、ちょっと絡めたお話を。ゴーゴリ「頑張った子には、ご褒美がいるよね!私は分かっているのさ!」 (2019年8月2日 18時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
道化(プロフ) - モフ子さん» 了解しました!リクエスト内容は、シリーズ最新作の「恋は下心」の方に投稿させて頂きますが、大丈夫でしょうか? (2019年8月2日 18時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
モフ子 - リクエストしても宜しいでしょうか?天人五衰のゴーゴリ君っていいですか?シチュエーションは何でも構わないのでお願いします!仕事帰りに癒されたい!どうか私の我儘を聞いて下され (2019年8月2日 11時) (レス) id: 7dc88695a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:jazz | 作成日時:2019年4月26日 19時