【ぷよぷよ】大罪の黒魔道士 (ページ5)

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求婚と漫才ページ5

放たれた一言に、衝撃を受けたA。余りに強すぎたので、口を間抜けに半開きにし、ぽかんとしてしまう。そして最初の返事は……

｢は？｣

礼儀もクソもない。先程までの真剣な雰囲気が嘘のようである。だが、そんな事にめげる魔王ではない。現に、フィアンセと決めたカーバンクルを連れた少女には、しつこく求愛している。

｢私に負けずとも劣らぬその魔力、凛とした姿勢。そして、先程見せた可憐な笑顔に惚れたのだ!!さあ、今すぐにでも結婚｣
｢しませんから｣

理由を言われたが、誘い文句をぶった斬り即答。Aは頑として姿勢を崩す気は無いようだ。サタンは少しばかり癇癪を起こしつつある。

｢何故だ!!今なら月へのハネムーンにも行かせてやるぞ!!｣
｢そんなデパートのセール文句みたいに言われても……それに、名前も知らない様な人に、よく求婚できますね？｣

少しズレたツッコミをしたA。まずはハネムーン発言について突っ込むべきなのだが、少しばかり彼女の感性は変わっているらしい。その後、律儀に返事を返すあたりは誠実さを表していると言える。サタンは彼女の発言に暫く考えると、頷く。

｢……それもそうだな｣
｢でしょう？だから諦めて｣
｢ではお前の名前はなんというのだ？｣
｢そういう問題じゃない!!｣
｢はっはっは!!可愛い奴め!照れなくとも良い、私はいつだって受け止める覚悟は出来ている!!｣
｢話を聞いてください!!｣

彼に諦めるという選択肢は無い。その姿勢に、Aは自身の年より幼い態度で、キャンキャンと吠えてしまった。だが、末恐ろしい魔王の愛。それさえ可愛らしく映ってしまう。

｢だが、名前を知らんと確かに不便だ。愛しい者の名を呼べん事は辛いからな｣

その発言に、Aは呆れ返る。遂には｢何を言っても無駄か｣と諦めさえ覚えてきていた。深く溜息をつくと、顎に手を添えられ顔を上げさせられた。いわゆる、顎クイ、という奴である。

｢……あの？｣
｢溜息をつくと幸せが逃げるぞ？｣

その原因はお前だ。心で溜息と共に告げたAだが、流石に気遣いに嫌味で返すほどでは無い。彼女は出来た人間であった。ぐっと堪え、肩をすくめ返答した。

｢……わかりました｣
｢ならば良いのだ。話を戻すが……お前の名前はなんというのだ？｣

返答が意に沿ったものであった為、機嫌が直ったサタン。周りに花畑が見えそうな笑顔で再び問いかける。

｢A。二つ名は、大罪の魔導師です｣

今回は、彼女も素直に答えたようだ。