【ぷよぷよ】大罪の黒魔道士 (ページ12)

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魂の器ページ12

｢さあ、始めるよ｣

Aは三つのアイテムの上で本を開く。光が溢れ出し、何かが吸い込まれそうになった。
その時に、本を持つ手が離される。本は重力に則って落ちていった。Aはその瞬間に、両手で器用にハルバードの槍の先が本に向く様に回し、持ち直す。

コトン、と地に開いたまま着地した本。Aはハルバードを本の開いたページに突き刺す。

｢アヴァリティア!!｣

増幅呪文無しで強欲の呪文を唱えた。風が、Aの黒い外套と長い三つ編みを舞い上がらせる。ハルバードの槍の先に闇が現れ、その闇は全てを吸い込もうと、引力を持った。

｢うわっ!?｣
｢っ!!本当に、衰えてないですね、A先輩の力は……｣

クルークとレムレスは、手近な柱に掴まり必死に踏ん張っていた。闇は尚も吸い込む力を弱めない。力を、封印の条件を、そして紅き魂を取り込む為に。

暫くし、紅く染まった槍の先。全てが吸い込まれたと思わしき時、Aの手が槍で、大きく紅い円を描く。彼女が構え直したと同時に、闇は槍の切っ先へと収縮し、消滅した。

｢こっから……!!スペルビア!!｣

体を屈ませて捻ったその体制から、Aは薙ぎ払うようにハルバードを振り回す。そして、自分の研究成果に細い切り傷を付けた。

｢わあ!!なんて事を!?｣
｢クルーク、あまり焦るものではないよ。見てごらん｣

焦るクルークに、優しく諭したレムレス。言われた通りにグッと堪え、傷がついた身体を見るクルーク。その視線の先からは、紅い光が漏れ出している。Aの手にあるハルバードの槍は、元の鈍い銀色をしていた。

｢……ん？なんだ……もう、終わったのか……｣
｢お、起き上がった!!｣

光が収まった時、研究成果とされた身体が微かに紅く染まった。そして、ムクリと起き上がった紅き青年。驚くクルーク。青年は、顔を三人に向けた。

｢まものちゃん、違和感はない？｣
｢……そうだな……モデルとなった本人の体よりも力が出てくるぞ｣
｢なんだと!?｣
｢あはは!!そりゃあ、まものちゃんには使いやすいだろうね！私の魔力を共同で使ってるんだから｣

挑発の様な言葉にカチンと来たクルーク。だが、Aは笑い飛ばしてから衝撃的な事を口にした。そこについて、レムレスはぴくりと肩を揺らした。

｢どういう事なんですか？｣
｢そのままの意味。まものちゃんの肉体は、私の肉体の一部を材料に、魔法で増幅させて、形成してるからね!!｣

聞いていた三人は、信じられないと言葉を無くしていた。