【ぷよぷよ】大罪の黒魔道士 (ページ11)

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地下の研究室ページ11

借りた部屋というのは、サタンの城の地下にあり、さながら隠し部屋の様な入り方をした。頼れる光はランプから発せられる微かな明かりだけ。コツン、コツン、と石で出来た壁や床に跳ね返った靴音が木霊する。

｢姉さん!!どうしてこんな雰囲気の所を借りたのさ!!｣
｢いやぁ、学生時代の研究室によく似ていたんだよ｣
｢でも、良かったんですか、A先輩？サタン様が何か言っていたけれど……｣
｢気にしないでいいよ。色々喚いてるだけだし｣

クルークは恐ろしさのあまり、腰が引けながらも歩いている。だが、彼以外は別段どうとも思っておらず、世間話を交えながら平然と歩いていた。本は閉じられているため、中の紅い魔物は大人しくしていた。

｢よし、ここだよ｣

階段を降りると、簡易的な寝台と生活に困らない程の家具が置いてある部屋が現れた。三人は部屋の隅にあった、三つの吊るしにランプを掛けた。

｢さて……研究成果を見せてくれるんですよね？｣
｢勿論。だけど、ちょっと待ってね｣

Aは、部屋の中央にある寝台に風呂敷を置く。風呂敷が開かれ、彼女は魔法で出来た糸で何か縫い合わせ始めた。

｢何をしているんだい。勿体ぶらずに早く見せてよ、姉さん｣
｢あと少し……よし、出来た｣

レムレスとクルークは、その掛け声でAの目の前の物を覗きに行く。
するとその寝台には、クルークによく似ており、けれどもクルークよりも大人びている蓬髪の青年の肉体があった。しかも、一矢纏わぬ姿で。

｢……Aさん、いつからそんな趣味を……｣
｢何を勘違いしているの？確かにクルークは私に似て美形だけど……違うからね？まものちゃんがクルークを乗っ取ったことがある、って聞いたから似せただけ。他意は無いよ｣

少しばかり引かれた態度を取られた事に対し、すぐ様訂正をするA。だが、全裸の異性を作れると言うだけで異端なのは本人にはわからなかった。

｢そ、そうなんだね……｣
｢……まあいいや。レムレス君。残りの二つのアイテムをここに置いて｣
｢……わかりましたよ｣

眉間を寄せながら、Aは肉体付近の床を指差す。そして、レムレスは言われたとおりに、月の石、星のランタンを置いた。そして太陽のしおりを二つのアイテムの近くに置き、Aは本の中の魔物へと語りかけた。

｢まものちゃん、ちょっと痛いし乱暴に扱うよ。ごめんね｣
『その位なら気にはしない。クルークの方がかなり乱暴に扱うのだからな』
｢……そうかい。ありがとう｣