10コール目 ページ11
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「A早くしてよー」
「ちょっと待ってよー！」
玄関で慌ただしく靴を履き替える。
北さんから意味深な言葉を貰ってから少し時間が経った金曜日、週末はお互いに何も予定が無いということで、今日は香帆の家に泊まる約束をしていた。
ロッカーにぎゅうぎゅうに詰めた少し小さめのボストンバッグを取り出し、香帆の元へ駆けよる。
そうしようと思ったタイミングだった。
「あれ、Aちゃん、今からどっか行くん？」
耳に心地よく響く声が聞こえた方向を見れば、そこにいたのは北さんで。
脚や体を軽くストレッチしており、どうやらこれからロードワークに行くようだ。
北さんの後ろを少し覗き込めば、同じジャージを来た部員が見える。
「はい！ 友達の家に泊まりに行く約束してて！」
「へぇ……。ええなぁ、楽しそうや」
心の底からいいなぁと少し羨ましがっているようにもとれる北さんの笑顔が、可愛くてドキドキする。
「北さんたちはロードワークに行く感じですか？」
「おん。いやまぁ正確には、少し早めに部活切り上げて、移動して泊まりがけで練習試合やるんや」
ようは合宿やな、と話す北さんは、合宿をやる前から少し疲れているようだった。
強豪校の合宿はやっぱりしんどいんだろうなと、心中お察しする。
「めっちゃキツいと思いますけど……。その、応援してますね！」
「おん、ありがとな」
会話に何となく区切りがつき、香帆のところに向かおうと思った瞬間だった。
「LINE、いつでも送ってくれてええからな」
「へ？」
北さんに背中を向けていた体を、もう一度彼側に向かせ直す。
どこかから、「おい、北行くでー」と北さんを呼ぶ声がした。
「LINE。せっかく交換したんやし、合宿中とかも気にせず送ってな」
「え、いいんですか！？」
「AのLINEあれば、俺も頑張れるし」
「ありがとうございます！」
うわぁぁぁぁ！！と叫び出したい気持ちをグッと堪え、お礼を言う。
何のお礼や、と北さんは楽しそうに笑っていたけど、とうとうバレー部のお迎えが来てしまい、その表情を見届けられたのはコンマ数秒だった。
「連絡してもいいんだ……！」
にやける口元を必死で隠すように、香帆に合流する。
でも結局隠しきれていなかったのか、「遅い！」「ニヤけて気持ち悪い！」という罵倒で出迎えられる。
でも、そんなことも気にならないぐらい、さっきの北さんの言葉はとても嬉しかった。
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吉田はるさめ(プロフ) - 脱兎@さきさん» コメントありがとうございます🥰 めちゃくちゃ嬉しいです！！ (12月31日 15時) (
レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
脱兎@さき(プロフ) - 一生顔がニヤついてました。控えめに言って神作でした！ (12月31日 11時) (レス) @page33 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - ゆずまる。さん» わぁぁ！ ありがとうございます！！ (12月15日 19時) (レス) @page28 id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずまる。 - 一言。尊とすぎんだろ (12月15日 18時) (レス) @page7 id: d52276dd20 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 爽さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました🙇♀️ そう言ってもらえて、本当に嬉しいです！ (11月19日 22時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉田はるさめ | 作成日時：2023年11月6日 0時
