猫系女子と猫かぶり系男子 (ページ29)

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花宮side

主｢──紹介する本が、司馬遼太郎の花神っていう本で......花宮くんなら知ってる、かな？｣

意外だった。

馬鹿にする訳ではないが、中西Aが幕末の

小難しい小説を読むとは思っていなかった。

花｢....知ってるに決まってるだろ。｣

知ってるも何も、花神はかなり

好きな小説だ。

古｢なら、つつがなくポスター作りに取り掛れるな。｣

昼休みに静かな図書室に

3人の声と、鉛筆を滑らせる音が響く。

古｢A、ここは緑色でいいか？｣

主｢もう少し重たい感じの緑がいいな。ざっと緑で塗ったらグレーと茶色混ぜてもらっていい？｣

古｢A、見出しは決まってるのか？｣

主｢なるべく簡潔で、古風な言い回しの方が上手く表現できそうな気がするんだよね。なんか最後が上手くまとまらなかったから、もう1回考えてみる。｣

指示通りにポスターに使われる絵の下描きを

している中、聞こえる2人の会話から合点がいく。

中西Aは頭がいいと言うより、

頭がキレる人間なんだ。

花｢お前、かなり教養ありそうなのに絵が下手な理由がよく分からねぇな。｣

思わず口から零した言葉に、

中西Aの顔が赤くなるのが分かった。

へぇ、こいつこんな表情隠し持ってやがったのか。