【マギ】願い事 Ⅱ (ページ18)

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53話ページ18

マスルールside

眠るAさんの居る少し離れたところで
王とジャーファルさんが何やら話していたが
特に参加する気にもなれなかった。

Aさんなら…二人の会話に着いていけるのだろうが、俺には難しい事は分からない

『博学』

『王族』

『金属器使い』

…彼女と俺はあまりにも違う。
流石に鈍い俺でもそれぐらいは分かった

彼女は王の隣に立ち
政治も戦も支えて行けるだろう

ひょっとしたら俺は
二人の邪魔者なのかもしれない

自分のエゴで、
彼女を縛って居たのだ、

「そんなに深刻そうな顔しなくても、ちゃんと彼女は目を覚ますわよ」

隣でヤムライハさんが苦笑する

「そうっすね…」

目の前で眠る彼女に視線を落とすと

いつもと変わらない寝顔で
規則正しい寝息を立てていた

「Aはこれからどうするのかしら」

「…俺達とシンドリアに戻りますよ」

Aさんから視線を
外さないまま返事を返した

「それは、マスルールの願望でしょ？
私たちの意見でどうこうできる問題じゃないのよ…きっと」

「それでも俺は…」

「じゃあ、仮にAがこの国に留まる事になったら…マスルールはこの国に残る？」

「それは…」

意表を突かれて

何も言い返せなかった

そんな俺を見て

「やっぱり答えなくていいわ…」と

彼女は今にも泣きそうな声で言う

慰めの言葉を探して、

結局口から出たのは

「…シンドバッドさんならどうにかしてくれますよ。」

他人に頼りきった

情けない言葉だった。