孔 雀 新 時 代 。【usss】

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「あれ？Aやん」

「え、」



聞き覚えのある声にAは後ろを振り返った。

不思議そうな顔をするセンラが立っていて、Aは目を見開く。



「センラ...？なんでここに、」

「なんでも何も、俺ここに就職することになってん」

「嘘でしょ、」

「なんでそんなつまらへん嘘つかなあかんの」



くすくすとセンラが笑った。

彼が指さした先には、Aの目的地。

初出勤の日の朝、Aは高校の友人の再開した。



「にしても、こんな偶然あるんやな」

「え、ほんとにセンラここなの...？」



俺が嘘ついてるように見える？

そう言いながら未だくすくすと笑うセンラにAは戸惑った。

数年ぶりに見た彼は少し大人びたように見えて、少し寂しくなる。

同時に彼といつも一緒だった3人を思い出し、彼らもまた同じように大人びたのだろうかと考えると自分が置いていかれたような気分になった。



「ほら、はよ行くで」

「え、ちょっ、」



ぐいっとセンラはAの手を掴み、そのまま歩きだす。

つられるようにしてAも足を動かしてセンラに引っ張られないように歩いた。

やはり彼の歩幅はAよりも大きくついて行くのに精一杯で、ひたすらに足を動かしているとセンラがぴたりと立ち止まる。



「もう、そういう時は言わなあかんで」



意地悪してごめんな。

そう言って優しく笑うセンラがゆっくりと開いた瞳の奥に、甘ったるくドロドロしたものをAは見た。



「...なんだろ、」



蜂蜜色の彼の瞳の奥の、甘く苦い渇望。

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