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「その本好きなん?」
「へ、」
図書室に本を返しに来た時のことだった。カウンターに本を置いた時、近くの本棚で本を見ていた男子生徒がAに声をかける。
声のするほうを振り返れば、黄色いアシンメトリーの男子生徒が立っていた。
「あ、いや...まぁ、はい」
「へ〜、俺も好きなんよね、小学生の頃よく読んだわ」
なつかし〜、この章が1番おもろいんよなぁ。
そう言いながらAが置いた本のページをめくる彼にAは困惑した。
彼の手元にある本はAの友人がよく読んだと言っていた本。
もちろん、Aもよく読んでいたし読書好きなら1度は手にする本だった。
「本読むの、好きなん?」
「うーん...小説とかはあんまり読まなくて」
「へぇ、そうなんや。急に声掛けてごめんなぁ、いっつも居るから気になってもうてん」
「いや別に気にしては無いので...」
はんなりした京都弁がAの頭に残り、無意識に彼の方を見つめていた。
その視線をくすぐったく思ったのか、彼はくすくすと笑って優しく微笑んだ。
「ふふ、なぁに?そんなに見つめられると照れるなぁ」
「あ、あぁ...いや、その、方言が気になって」
「もしかして苦手やった?」
「いや全然...!珍しいので」
そう言って手を振って否定するAに男子生徒は可笑しそうに笑った。
「センラって言うねん。名前、教えてくれへん?」
「城川です、」
「ん、城川さんな!覚えた!」
急な大声にAは肩を跳ね上げる。
センラは嬉しそうにAの苗字を呼んでいた。
おいこらセンラ、図書室では静かにしろよ。
カウンターにいた図書委員がセンラの頭を小さく叩いた。
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かしや(プロフ) - 雨の夜さん» ありがとうございます〜!内容に重きを置いているのでそう言っていただけると嬉しいです!更新がんばります! (2021年1月31日 17時) (レス) id: a864d91887 (このIDを非表示/違反報告)
雨の夜 - コメント失礼します!いやぁ〜前から見てたけど話の内容面白いのですごく好きです!作者さんのぺースで更新頑張ってください! (2021年1月31日 10時) (レス) id: 1e59db50fb (このIDを非表示/違反報告)
かしや(プロフ) - のん!さん» ありがとうございますー!!更新頑張ります! (2021年1月29日 20時) (レス) id: a864d91887 (このIDを非表示/違反報告)
のん! - 初コメ失礼します!とっても面白いです!更新楽しみしています!頑張ってください (2021年1月26日 8時) (レス) id: 8e054f2938 (このIDを非表示/違反報告)
かしや(プロフ) - るいやで。いぇあ。さん» ありがとうございます〜!!!更新頑張ります! (2021年1月23日 0時) (レス) id: a864d91887 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かしや | 作成日時:2021年1月20日 20時