【歌い手】 *そこを曲がれば (ページ4)

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いきなり現れて、しかも拾ってほしいだなんて言う彼の言葉に、驚きの余り私は動揺を隠せない。

そんな私の反応を弄ぶかの様に、目の前の彼は一瞬目を細めたかと思うと、そのまま私の元へと
近付いてきた。

「ぶっちゃけさぁ…いい条件だと思わない？」

生憎おねーさんさ、彼氏とかそんなのいないでしょ？

だったら俺を飼ってみない？

ほら、俺さ自分で言うのもあれだけど、そこそこ顔も整ってると思うし。

おねーさんが望むなら彼氏になってあげることも出来る。

そこまで言うと、彼は一旦口を閉じる。

「…ね？いいと思わない？」

どうやら彼の中では、私が飼う前提のようで。

全部が彼のペースに巻き込まれる。

ああ、どうしてこんなことになったんだっけ？

分かんないや。

私の無言を肯定と受け取ったのか、彼は

「改めてよろしくね、おねーさん…」

そう言い終わるや否や、私の腕を掴むと

「おねーさんの家…教えて」

これが、彼との最初の出会いだった。