じゅう ページ10
「まだかな〜まだかな〜ふっふーん」
晴天だ。雲ひとつないインスタ映えしそうな空。
そして何より風が良い。二学期ともなれば夏も終わりが見えてきて、たまにこうして涼しい風が吹いてくる。
私は自分のパンと、先生に呼び出され連れてかれた友のパンを中庭のベンチに並べて遊んでいた。ご機嫌な昼休みである。
「パン屋さんでも開くん?」
不意打ちだ。突如聞こえてきたイケメンボイスの関西弁。
そして何より顔が良い。二年生ともなれば後輩からも先輩からもキャーキャー言われて、バレンタインは半ば戦争だろう。
ギギ…とロボットのようなぎこちないお辞儀をする。
「………こ、んにちは」
「ありゃ。何や態度が元に戻ってへん?
俺ら一緒にマリオカートした仲やんな??」
「ヨッシーの助けがないと私は運転もできないし先輩と上手くコミュニケーションが取れません」
「いや、話せてる話せてる。それそれ」
満足そうに彼は私の隣にしゃがみ込んだ。ベンチはパン達が占領しているので座れないから、座るならそこなんだろうけど。
いや、なんかちょっと。
「近くないですか」
「Aちゃん頭ちっさいなぁ」
「あ、ありがとうございます」
「バレーボールみたいやな」
「それ褒めてない気がする……近くないですか?」
私が大袈裟なのではない。彼が元々パーソナルスペースが狭い人なんだと思う。
女の子にそんなに顔近づけたら、みんなこの人の事好きになりそうなんだけど。
「あー、そうやってファン増やしてるんだ」
「人聞き悪いわ〜人をたらしみたいに」
「…………………」
「否定せい」
チョップされた。痛くない。
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作者名:- | 作成日時:2020年5月19日 15時