きゅう ページ9
あれからお兄ちゃんの帰宅により私は戦線を離れ、課題に取り組んでいた。
宮先輩と急激に距離が縮まって困惑している。けど、すごく嬉しい。
第一印象と全然違うタイプだったし。世の中には良いイケメンと悪いイケメンがいるが、あの人は良いイケメンだ。
「あいつすげーな。俺以外の歳上の男と普通に話してるA初めて見たかも」
「……そんなに?」
今日も今日とて両親のいない食卓。
兄はそう言いながら赤いペンで二重丸を書いた。
私は、味噌汁の出来を毎日三段階で評価してもらっている。二日ぶりの二重丸はお値段の張った赤味噌のおかげだろうか。
ともあれ、先輩と仲良くなれた上に味噌汁も高評価。私の心は晴れ渡っている状態だ。
「大丈夫だよ。治は悪いやつじゃない」
「お兄ちゃんが言うならそうなんだろうなぁ」
「お前、俺への信頼度えぐいな」
たいへんよくできました。
サラサラとペンを走らせる兄は照れくさそうに笑った。
「じゃあもう一人の宮先輩も良い人?」
「……んー。Aは苦手なタイプかも」
言葉を濁らせたということは、良い人だけどクセのある人なんだろうか。
治先輩がクセのない人では決してないからまあそうなんだろうけど。
「治がお前のこと俺に似てなくて可愛いって言ってたよ」
「……えぇ、おせじ?」
「さぁ」
お世辞なのかなんなのか。どういう意味での可愛いなのか。
それでも、私のいないところでそんなこと言うのはずるい。
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作者名:- | 作成日時:2020年5月19日 15時