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第十話 ページ10

ある日、(人4)にこう言われた。

「最近さ、(人3)先生のこと探しすぎじゃない? なんで?」

「え、そんなことないよ……探してなんか…」

私は必死に否定した。
周囲に気づかれるほど、先生のことを見ていただろうか。探していたのだろうか。
私には心当たりがない。だがこう言われた以上、自分の行動を見つめ直す必要がありそうだ。

「何、先生のこと好きなの?」

「………は?」

少し反応が遅れてしまった。
先生を好き?
いや、ないない。先生に恋をするなんて有り得ない。
そもそも何故そう思うのだ……って、私の行動のせいか。
本当に反省しなければ。


「好きじゃないって」


(人4)にはそう言った。
けど、自分の中で先生に向けているこの感情は何なのか、もうずっと前から分かっていたのかもしれない。

先生を見ているとドキドキする。
いつの間にか先生を探している。
先生のことばかり考えてしまう。

きっと、この感情は″恋″というものだ。
そう、私は先生に″恋″をしてしまった。
自分が気づかぬうちに。
そして、心のどこかでこれが″恋″なのだと思っていた。

それが今日、(人4)の言葉で確信へと変わっていった。
自覚してしまったこの感情。
先生と生徒が結ばれるわけがないと分かっている。
胸が苦しい。とても辛い。
胸が締めつけられているような感覚。


今まで誰かを好きになったことは何度もある。
だけど、ここまで苦しかったことはない。


「A、どうしたの!? 保健室行く?」

私の様子が変だと気づいたのか、(人4)が焦り始める。
この調子だと、次の授業は受けれそうにない。


「あ……次の授業何だっけ」

「数学! 先生には私が言っておくから。保健室行こう」

数学と聞いて、私ははっとする。
次は先生の授業だ。何が何でも受けなくては。

「行かない」

「えぇ? でも………」

「心配かけてごめん、もう大丈夫だから」

嘘。本当は大丈夫ではない。
今もまだ胸が苦しい。
だけど、保健室に行って「先生のことでしんどいです」なんて言ったら馬鹿みたいではないか。
他にも病気でしんどい生徒がいるのに。
それに先生に会えるのだから、このくらい何ともない。

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作者名:りつ(みずりんろーる) | 作成日時:2018年11月26日 17時

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