第九話 ページ9
授業が終わってから、先生が私の席まで来た。
「(人1)、今日の授業ではよく眠れたか?」
と、笑いながら言うのでまた恥ずかしくなってきた。
でもそれを隠すように無表情で「お陰様で」と言うと、先生はくすくすと笑った。
何故笑う。余計に恥ずかしくなるではないか。
顔が赤くなってしまえば、恥ずかしがっていることが分かってしまう。
先生、お願いだから笑うのをやめてくれ。
そして前にいる(人4)もだ。
「次の授業は寝ないように」
とだけ言い残して、先生は教室を出ていった。
先生が出て行ったあとを取り巻きたちが追いかける。
先生も可哀想だなぁ、なんて他人事みたいに思ったり。
いやいや、実際に他人事なのだが。
教室内では生徒たちが先生のことで話をしている。
「(人3)先生かっこよかったねぇ」
「それな。てか先生が起こしに来てくれるなら、あたしも寝ちゃおっかな」
それ絶対に私が寝てた時のこと言ってますよね。
チラチラこっちを見ているのもわかってます、なんて心の中で言っておく。
まさか先生が起こしに来てくれるだなんて、誰も考えていなかっただろう。
かと言って、こう生徒たちの話題に私が出てくるのも嫌だな。
それほど先生がモテるのだということにしておく。
「はぁ、次の授業では寝ないように頑張ろう」
「数学の時間あれだけ寝てりゃあ大丈夫でしょ」
素早く(人4)に突っ込まれて、「うるさい(人4)」と返す。
まだ眠いことに変わりはないけれど、ここで寝てしまっては成績が下がるだけだ。
それだけは絶対に避けたい。
それに、寝たところで先程のように先生が起こしに来る訳でもない。
…って、あれ? また先生のことを考えてしまう。
この気持ちは何だろうか。
その後の授業はあまり内容が頭に入ってこず、別の意味で成績が下がらないか不安になった。
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作者名:りつ(みずりんろーる) | 作成日時:2018年11月26日 17時