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第六話 ページ6

「ただいまー」

家に着くと真っ先にお母さんの方へ向かい、今日学校であったことを全て話す。
隠しごとはしたくない。
それに、お母さんも学校での出来事を知りたがっている。


「今日は先生が……」

「あら、最近先生の話ばかりするわね。前まではお友達のことだったのに」

「え、あ………この前から先生と話すようになって…」

どうやら私は、気づかぬうちに先生のことばかり話していたようだ。
いやでも、それは先生と仲良く…とまではいかないが、まぁそれなりに話すようになったからで、決して深い意味はない。


「そうなの? Aが先生と話すなんて珍しいわね」

「前からいろんな先生と話したりしてたよ」

「でもお母さんには教えてくれなかったじゃない」

「それは…」


言われてみればそうかもしれない。
だって、先生に勉強を教えてもらったとか、質問しに行ったとか、言い出したらキリがない。
それに分からないところは先生に聞きに行くなんて、当たり前のことではないか。
だからお母さんに話す必要はないと、そう思っていた。


「まぁいいけど。ほら、それよりも明日の準備はした? 忘れ物しちゃだめよ!」

「準備してくる」

お母さんにそう告げ、二階にある自分の部屋へと向かう。
この前みたいに忘れ物をするなんてこと、もう二度とごめんだ。

でも、数学の教科書を忘れたら……先生は私を気にかけてくれるだろうか、なんて。
いやいやいや、何考えてるの私。
それじゃあ評価が下がるだけではないか。
というか、何故そこで先生が思い浮かぶのだろう。
どうして先生のことを考えてしまうのだろう。

顔が熱を帯びたのが分かった。
心臓がとくとくと音を立てる。
最近の私は何だかおかしい。


部屋に着くと、熱を冷ますために窓を開けた。
冷たい風が頬を撫でるかのように、部屋に流れ込んでくる。
それがとても心地良くて、目を瞑った。

すると、先生の顔が脳裏を過ぎる。
まただ。また先生のことを……私は一体どうしてしまったのだろう。
もう自分でも訳が分からなかった。


「先生…………」

私は無意識にそう呟いていた。
いつもよりも速い鼓動が耳に残った。

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作者名:りつ(みずりんろーる) | 作成日時:2018年11月26日 17時

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