第三十八話 ページ40
ゴホ、ゴホーー
谷崎さんの体が傾ぐ。
その原因が、やや距離を取った場所で済まし顔をした黒い男だというのは、すぐに判った。
その外套から伸びる歪なナニカが倒れた谷崎さんの体から引き抜かれる。
芥川「死を倶れよ
殺しを倶れよ、死を望む者
等しく死に、望まるるが故にーーゴホッ」
乾いた咳を一つ。切っ先から血を幾筋も垂らすナニカは彼の外套へ戻っていく。
ーーこいつには逢うな、遭ったら逃げろ
俺でもーー奴と戦うのは御免だ
敦「なーー」
芥川「お初にお目にかかる、僕は芥川。そこな小娘と同じく、卑しきポートマフィアの狗ーー」
指が実に優雅に口元に添えられ、何度か咳込む。そう、優雅だ。この場にそぐわないほど。
『美人さんか……？』
敦「！？」
おっとやばい敦君に引かれてしまった。
樋口「芥川先輩！ご自愛をーー此処は私ひとりでも」
ピシッと其処まで大きくはない、しかしそれだけに痛そうな音がした。言わずもがな、芥川さんが樋口さんの頬を打った音だ。
樋口さんが付けていた黒いサングラスが地面に転がる。
芥川「人虎は生け捕りとの命の筈、片端から撃ち殺してどうする。役立たずめ」
樋口「ーー済みません」
あの、怖いよ。シンプルに怖いよ。樋口さんの美しい顔が傷ついたジャマイカ……。どっちもご自愛ください……。
敦「人虎……？生け捕り……？あんたたち一体」
芥川「元より僕らの目的は、貴様一人なのだ人虎。そこに転がるお仲間はーーいわば貴様の巻添え」
その容赦のない言葉に、敦君は絶望したような表情でポツリと呟く。
敦「僕のせいで皆がーー？」
芥川「然り。それが貴様の業だ、人虎。貴様は、
生きているだけで周囲の人間を損なうのだ」
敦君の細い顎を冷や汗が伝った。その東雲色の瞳は、僅かに僕の方を向く。
ーーこの状況で、こっちを心配するか。
思わず頬が緩んでしまいそうだ。
芥川「自分でも薄々気がついているのだろう？」
その瞳を真っ直ぐに見返し、力なく垂れた手を強く握る。敦君はハッとしたように手を見て、僕の目を見て、前を向いた。そうだそうだその調子だ。あれ？芥川さん何て言いました？すみませんちゃちなラブシーンやってたんで聞いてませんでしたァ！
目と目が合う〜ｱｯ済みません黙りますね。
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三日月ピエロ(プロフ) - (名前)さん» マジですか！！ありがとうございます！これからもどうか土下座女をよろしくお願いしますね！！ (2019年4月28日 22時) (
レス) id: 506de80960 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 三日月ピエロさん» はい！先ほど全部読みました！！ (2019年4月28日 20時) (レス) id: 192730a35f (このIDを非表示/違反報告)
三日月ピエロ(プロフ) - (名前)さん» ちゃんと細かい所まで読んでくださってありがとうございます！続編も出来れば楽しんで下さいね^^ (2019年4月28日 20時) (レス) id: 506de80960 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 三日月ピエロさん» あそうなんですね。 (2019年4月28日 18時) (レス) id: 192730a35f (このIDを非表示/違反報告)
三日月ピエロ(プロフ) - (名前)さん» 分かりずらくてすみません！！実はそういうネタがあってですね……その後に主が所望している「そうなりよ」と続けるまでがワンセットのようなネタがあるんです！ (2019年4月28日 8時) (レス) id: 506de80960 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三日月ピエロ | 作成日時：2018年5月13日 13時
