第25話 ページ28
第25話
体育祭が終わって数日が経った。
自分が幽霊になって気がついたことがある。私は元々夜が好きだったけれど、幽霊になってから夜はあまり好きではなくなった。
暗闇や夜は幽霊の私にとって活動がしやすい。昼間より元気だし、人気がないからフラフラ出歩いても目立たないからだ。
だけど、私は幽霊。
眠ることは出来ない。
一人だけの時間。
こういう言い方は大袈裟かもしれないけれど、本当に独りぼっちになってしまったように感じる。世界のどこにも私の居場所はないのだと、実感せざるを得ない。
窓に寄りかかり月を眺めていると、ベッドの方からゴソゴソと音が聞こえる。
「………眠れねぇのか」
目を覚ました爆豪勝己が小さく低い声でそういう。彼も私がいる状態にすっかり慣れたようだ。
「幽霊だから寝られないのよ。おかげで、退屈だわ」
「……そりゃ難儀だな」
「まだ夜中の３時だから、あなたは寝なさい」
言われなくても、と彼は寝返りを打つ。そんな彼を見て私は目を細めた。
ああ、私は本当に意地悪ね。
私の未練、彼には晴らせないだろう。
だって私の未練は……────
「………おい」
「！！」
声をかけられハッとする。
まだ起きてたのね。
「んな顔しなくても直ぐに消してやる。消えれば退屈なんて思えなくなるだろ」
「…………私、どんな顔してた？」
「知らねぇけど…………なんか死にたそうな顔」
そんな顔、してたの？
自分じゃ分からないものね。
クスッと笑が零れる。
本当に、面白いひと。
「じゃあ、期待しているわ」
「るせぇよ……ボケ」
でもやっぱり
あなたじゃ私の未練は晴らせない。
私を消すなら
別の方法しかないんでしょうね。
.
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mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (
レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
晏(プロフ) - この作品が好きすぎて、何度も見直しています！ 感動しすぎてこれを読む時は、ティッシュが必ず横に置いてあります。 (2021年3月17日 0時) (レス) id: 440a1ef8ed (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅(プロフ) - 感動です...あれっ、足元に大量のテェィッシュが...笑。素敵な文章ですね！こんな文章が書けるようになりたいです。これからも、応援しています！ (2020年1月30日 21時) (レス) id: 349b1bb88e (このIDを非表示/違反報告)
みゅーう - めっちゃ感動しました。ボロ泣きしました。素敵な作品を書いて頂きありがとうございます！ (2019年7月22日 1時) (レス) id: b0c04a8a2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2017年12月15日 7時
