【あんスタ】おおうそつき【深海奏汰】 (ページ36)

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それぞれの思い/2 ページ36

「奏汰せーんぱい」

「ふふ、『さぼり』ですか～？」

「いえ、生憎私は先生と他の学校に出向かなければいけないので」

　というもの、丁度今の時間帯に交通機関が通らないので仕方なく佐賀美先生同伴というだけなのだが。

　ある日、私は『Eden』にプロデューサーとして会わなければいけない用事ができて、少し遠いに行かなければならないことになった。

　大神のピアスの件は必然的にこの用事が終わってからとなる。

「そうですか～。では、いってらっしゃい」

　特に引き留められることもなく、ただ手を振って彼は私を見送った。

＊

「『あのこ』は、どうしてそこまで『はんにん』をさがすんでしょうか」

「優しいから、じゃのう」

「あ、れい」

「ボクもいるヨ」

　直後。入れ替わるように来た二人は軽く手を振って奏汰に近付く。

　奏汰も真似するように手を振ると、満足したように零は笑った。

「なっちゃんも。どうしたんですか？れいだって、『ひがさ』までさして」

「ちょいと外せない用事があってのう……仕方なくこの真っ昼間に外に出たんじゃよ」

「そしてボクはその介護役。用意周到だよネ、まるで上から見られているみたイ。」

　奏汰は背後から足音がすることに気付く。

　振り返れば、見慣れたもう二人がいた。

「しゅう、わたる？」

「ここに集まれと言われたんだが……元凶はどこだ？」

「もうすぐ来ると思うんじゃが……あっ、まだ校舎の方にいるのう。くくく、律儀に早歩きで向かっておる……♪」

　つられて皆も校舎の方を見る。確かに誰かが異様に早い歩きで廊下を移動しているのが見えたが、それを誰なのかはわからなかった。

＊

「なぁ、A」

「はい」

　若干煙草の匂いが残る車内、私は無表情で窓の外を眺めていた。

「お前、同級生とは上手くやってるのか？」

「まぁ、はい。」

「特に仲良い奴とかいんの？」

　渋滞に捕まってしまったための、暇潰しだろうか。

　先生は特に目線も合わせず目の前の車を見ていた。

「同じクラスの子たちは大体仲が良いですよ。特に衣更や凛月、大神とか。A組は逆先や神崎とよく会います」

「お前逆先も手懐けてんのか……あんずに似てきたな」

「あんずはもう女神様の域に入ってます」

　もう少しかかるから携帯でも見て遊んでろ、と雑に返される。

　大人しく携帯の画面を見れば、いつの日かの衣更達と撮った写真家が映し出されていた。