Friends ページ10
「なっくん、そっちはおった?」
「ウウン。ごめんネ、うちのソラが……」
ずんと効果音がつきそうなくらい分かりやすく落ち込む彼は、中々見たことがない。
途中で運良く出会った同じ事務所の人たちにも手伝いを申し出ながら、未だに彼らの行方は分からなかった。
*
「……でさ〜、タッツン先輩はどう思う?」
「それに関しては俺に答えを求めないでくださいね。藍良さんと一彩さんの問題でしょう?」
「それはそうだけど〜……ちぇ」
「まぁまぁ。助言くらいはしますから」
「まぁ、ありがと……わっひゃ!?何!?」
談笑の声が近づき、もうすぐで姿も見えそうな曲がり角を曲がれば、どす、となんとも痛そうな音が聞こえた。
転ばせないようにと咄嗟に『そら』が掴んだ白い腕に、繊細などこか日本人離れしている髪、顔立ち。これは……『あいら』ね。
「わ、ごめんなさい!大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。ありがと……って、春川宙くん!?」
「はい、宙です!」
それから、その始終をぽかんと見ていたのが『あいら』と同じ、『ALKALOID』の『たつみ』、だったかしら。
「う〜ん、もっとお話したいけど、宙は急いでいるのでまたな〜!」
「あっ、もう行っちゃった……あれ、抱えてるのって」
彼らと別れて数秒後、ほんの一瞬だけ通りすがった『ひいろ』と『りんね』に目が合った気がした。
聞き覚えのある声はまだどこかで響いている。
近づいては遠ざかって、『そら』は器用にその『声』を避けていた。
*
それから数時間、いいや、数分かしら。
その、ふとした瞬間。
「……捕まえたっ!!」
まるで抱きつくように私たちを抱えた腕は、柔らかな匂いがした。
それと同時に、彼と『そら』は一緒にしりもちをついていた。
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作者名:竜花 | 作成日時:2020年7月8日 23時